サヨナラCOLOR始まることはたくさんあるかもね。フォードの忘れな草、エクスプローラー・タイタニアムを想う。

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第18回 フォード「エクスプローラー・タイタニアム」/Ford Explorer Titanium

    サヨナラCOLOR始まることはたくさんあるかもね。フォードの忘れな草、エクスプローラー・タイタニアムを想う。

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    フォード最後の新車となり申したタイタニアムは、幻の名車リスト入り確実だね。フロントグリルのシルバーや、室内のヘアライン加工されたアルミ素材など、その名にふさわしいアクセントがところどころに効いてて、ベースモデルとは一線画してる。

    2016年上半期、自動車業界でもっとも悲しい話題だったフォードの日本撤退。日本で売れるラインアップを販売できなかったとか、TPP絡みで政争の具にされたとか色々見方はあるけど、ここ数年フォードは販売台数を手堅く上乗せしてきたところだったんだよ。2016年も良いニュースが先行してて、前途は明るかった。マスタングの右ハンドルモデル登場とともに、大々的に販売されるはずだったのが、このエクスプローラーの上位モデルであるタイタニアムなんだな。見てよ、この存在感。カタマリにタカマリ❤みたいなね(笑)。アメリカンSUVの王道がここにあるよね。

    そもそもエクスプローラーって『ウォーキング・デッド』のアンドリュー・リンカーンみたいな、リーダーシップと人間性に優れたタフな父親像(奥さん美人)がイメージなんだよな。公平で正義感が強く、家族だけじゃなくご近所コミュニティの信望も厚い(笑)、みたいなね。エクスプローラーは長年に渡り、アメリカでベストセラーSUVとして君臨してきたわけ。だからこそ、そこのところの自負も含めて、連綿とそういう庶民のヒーローとしての父性と男性像をクルマとして形にしてきたところがあるんだ。タフでどこへでも行けちゃう、何人でも載せちゃう、ボートだって牽けちゃう、器のデカさは車体のデカさ(笑)、みたいな。でもそれが厭みにならないのがエクスプローラーなんだな。素直にいいんだよ。本当に格好いいよ。

    白の本革のシートとか、車体の大きさをまったく感じさせない驚くべき挙動の軽さとか、まずアメリカンラグジュアリーな陽性のドライブフィールが先にくるでしょう。そして60%以上をしめる高張力鋼板によるユニボディ構造の高剛性ボディが、直感的に分かる安心感につながってて、エクスプローラーのキャラクターを決定づけてる。子どもの寝顔を見守れる父親マインドが満たされるっていうかな。もうクルマが「この感じが好きで、ふさわしい人に乗って欲しい」とアピールしてるんだよね。そもそもフォードはマスタングにしろ、フォーカスにしろ、クーガにしろ、「こういう人に乗って欲しい」っていうオーナー像がはっきりあって、オーナーとクルマの蜜月な関係をとことん追及してた節があったよ。それが「わが幸せ」みたいなところがあった。

    タイタニアムは3.5ℓのV6でエクステリアも含め、色気に振ってるところはあるけど、それにしたって600万強って価格も素晴らしい。この価格なら質実剛健な我が友、アンドリューでも「真っ当すぎる」って顔をしかめるはずなんだよね(笑)。ま、そんなフォードが売れない日本の車社会に言いたいことはいっぱいあるし、不幸なタイミングで上陸してしまい、プロモーションもされずに、ひっそり売られてたタイタニアムだけど、すでにほぼ完売の状態になっている、とのこと。それを聞いて「このタイミングでフォード車を選ぶんだ。そういうフォード・ファンが日本にもいるんだ」って胸が熱くなったよね。俺だってそういうクルマの選び方していきたいもん。生き方の選択に通じるね、これ。

    フォード・エクスプローラー・タイタニアム Ford Explorer Titanium

    ●エンジン形式:3.5ℓV型6気筒ターボ
    ●最高出力:370ps/5,500rpm
    ●最大トルク:474Nm/3,500rpm
    ●トランスミッション:6速オートマチック
    ●車両価格:¥6,350,000

    問い合わせ先:フォードお客様相談室 TEL:0120-125-17

    http://www.ford.co.jp/suvs/new-explorerfu