優しく速く、確かな潤いに満たされる。

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    優しく速く、確かな潤いに満たされる。

    スクエアでミニマルな佇まいも、優しい印象。H37.5×W37.5×D21㎝。実勢価格¥24,800(税込)

    今回紹介するダイニチ工業のハイブリッド式加湿器RXシリーズは、設定湿度に達するまでの時間がスピーディである点が特徴だ。水を含んだフィルターに風を当てて加湿する
    “気化式”に加え、ヒーターで風を温める“温風気化式”を組み合わせているため、パワフルな加湿が可能となるのだ。
    さて、ダイニチ工業と聞いても耳慣れないという人がいるかもしれないので、少し説明しよう。家庭用の石油ファンヒーターでは約5割のシェアをもち、販売台数は10年連続でシェアナンバー1、加湿器においても数量・金額で4年連続シェアナンバー1という輝かしい数字を維持している。創業以来、53年間「メイドイン新潟」の姿勢を守り続け、金型作りから組み立てまですべてを自社で行っているあっぱれな企業なのだ。ほとんどの従業員が正社員のため技術の習熟度も高く、休憩時間ごとに工場内の持ち場を交代するようにしているという理由も「同じ姿勢だと体の同じ場所に負荷がかかって大変だから」とのこと。従業員への愛にあふれていて感動する。

    そんなダイニチがつくる加湿器も、使う人への愛にあふれている。たとえば就寝時に「おやすみ加湿」ボタンを押すと、最初は最小運転音のわずか13㏈で稼働。ねむりにつくまでは静かな空間をつくってスムーズな入眠に導く。この間は運転ランプだけを点灯させて表示部の明るさを抑え、瞑った目にも優しい表示にしている。1時間が経過すると「静音運転」モードに切り替わり、標準時の約半分ほどの静かさを保ちながらたっぷりの加湿を行う。この時にはデジタル表示が復活しているので、夜中に目が覚めて「いま湿度はどれくらいだろう?」と気になった時にもきちんと確認できる仕組みだ。そのほか、部屋の温度が低い状態では、のどや肌のコンディションを考えて湿度を70%以上まで上げ、暖房によって室温が上がってくると60%まで下げて過加湿を防ぐ「のど・肌加湿」モードも備える。本体の保証期間が3年なのもうれしい。

    新モデルではこうした機能やサービスに加え、設定湿度に到達するまでの加湿量を約15
    %とアップさせたターボ運転機能も加わり、帰宅時などに活躍しそうだ。気化式はスチーム式や超音波式と違って“目に見えない”のが少し残念だが、細かな水の粒子は湿度の低いほうに流れていく性質があるため、広い部屋でもまんべんなく加湿できるという点で秀でていることも伝えておきたい。 
    RXシリーズのラインアップは、部屋の大きさに合わせて選べる4種類。スクエアなボディに持ちやすいハンドル付きの水タンクを備えたシンプルでスマートなデザインは、寝室からリビングまで、幅広くマッチするに違いない。

    わかりやすいインターフェイスとデジタル表示。静かさを優先した「おやすみモード」も簡単に設定できる。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載