「クレドール」45周年記念モデルは、刀に施す伝統工芸技術で、「風になびく稲穂」を表現。

  • 文:笠木恵司

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木目金(もくめがね)と呼ばれる日本古来の伝統工芸で手作りしたダイヤルをもつ、「クレドール」誕生45周年記念限定モデル。18Kピンクゴールドケースとのコンビネーションが美しい。

黄金色に実った稲穂が、一陣の風で波打つように揺れ動く。日本の原風景ともいえる美しい瞬間を、伝統工芸によってダイヤルに定着させた特別モデルが、「クレドール」誕生45周年を記念して登場しました。

採用されたのは、江戸時代に刀装具用に考案された「木目金(もくめがね)」と呼ばれる金属工芸技術。異なる色の金属を重ねて彫りなどを加え、それを平らに伸ばすことで木目のような模様を出す手法です。今回は18Kホワイト・イエロー・ピンクゴールド、それにシルバーの金属プレートを研磨・脱脂してから1枚に圧着。リューター(電動切削道具)を使用して、この金属板に手作業で彫りを施していくのですが、切削する深さを変えることで、表面に現れる金属の色が異なってくるわけです。その後、金属板の厚さが0.8㎜になるように均一に圧延。表面仕上げを施して完成となります。

流麗なラインを描く彫りのテクニックはもちろん、平らに延ばした時の変化を想定して色出しや模様をつくる、熟練の職人技が必要になってきます。今回の特別モデルも、卓越した技術をもつ限られた職人によって1枚ずつ手作りされました。このため、わずか35本の限定となっています。

この特別なダイヤルを用いた「クレドール」は、雫石高級時計工房製の極薄手巻きムーブメント「キャリバー6890」(厚さ1.98㎜)を搭載。ベテラン時計師でも1日に1個か2個しか組み上げることができない超精密なムーブメントです。日本が誇る高度なハンドクラフトが時計の内外で融合した、ジャパンメイドの傑作アートピースといえるでしょう。

木目金は江戸時代に刀の鐔(つば)などのために考案された技術(写真左)。異なる金属素材を何層も重ねて1枚に圧縮。これに電動切削工具で彫りを施すことで、さまざまな色の木目模様を表現(写真右)。こうした木目の中でも特に装飾性が高く、美しいものを「杢(もく)」と呼びます。稲穂が風にたなびく情景を現代的にデザインした「クレドール」のダイヤルは「風杢(かぜもく)」と名付けられています。

ムーブメントは雫石高級時計工房で製作される、厚さ1.98㎜の極薄手巻き「キャリバー6890」。裏蓋にはシリアルナンバーを刻印。

手巻き、ケース径37.0㎜、厚さ7.4㎜、日常生活用防水、限定35本。¥3,240,000(税込)。全国のクレドールサロンとクレドールショップで8月9日から発売。

問い合わせ先/セイコーウオッチ お客様相談室 TEL:0120-061-012