「新しい日常」の料理を手軽に、多彩に楽しめる! 初夏の最新調理家電3選。

  • 写真:岡村昌宏(CROSSOVER) フードスタイリング:廣松真理子
  • 文:岡野孝次

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写真はブラック。他にもレッド、ネイビーのカラーリングも。「Re・De Pot 電気圧力鍋2L」¥14,800円(税込)/A-Stage(https://a-stage-inc.jp)

自宅での巣籠もりが当たり前になり、おのずと料理が習慣になったという人も多いだろう。しかしこれから生活は「新しい日常」へ。慌ただしい日々が戻るなか、なんとか自炊を続けたいという人は、調理を手軽に美味しくしてくれる調理家電を購入してみてはどうだろう。炊飯から下味漬け、火入れや保存にいたるまで、あらゆる場面で自炊生活を助けてくれる便利アイテムが、続々登場している。

下準備を大幅に短縮できる、「Re・De Pot 電気圧力鍋」

数年前までは、料理好きのアイテムという印象が強かった圧力鍋。手動での調整が必要でライト層には手を出しにくい商品だったが、最近は各社こぞって「電気圧力鍋」に力を入れている。簡単なボタン操作だけで加圧調理が可能で、器内の沸点が100度以上になるため時短調理もお手のもの。また水分の蒸発を抑えて加熱する、無水調理対応の機種などもラインアップに加わっている。

インテリアとの調和に秀でたデザインが人気の「A-Stage」から5月に発売されたのが、「Re・De Pot 電気圧力鍋2L」。こちらもキッチンや食卓など、生活のあらゆる場面になじむフォルムだ。「圧力調理」「スロー調理」「温め調理」の3つの基本機能があり、時短&無水調理も可能。肉じゃが、クリームシチューなど、8つのメニューを自動調理でき、とにかく使い勝手がいい。

たとえば玄米を炊きあげる場合、通常は吸水だけで6時間はかかるが、「Re・De Pot」の圧力調理機能を使えば、吸水時間をゼロにできる。今回はここにひと手間を加えて、「海鮮炊き込み玄米ごはん」をつくってみる。

玄米に具材をのせれば、あとは調理時間を入力するだけ。時間のかかる玄米の浸水を、圧力調理によって省くことができる。

圧力モードに切り替え、マニュアルで「30分」に設定。スタートボタンを押すと加圧がはじまり、圧力がかかりきったところで自動的に調理がスタート。そこから30分で炊飯が完了する。

玄米には白米の10倍ものビタミンB1や食物繊維が含まれるが、パサパサの口当たりが苦手という人も多い。しかし圧力鍋を使えば、もちもちの食感に仕上がり、手軽に栄養素を摂取できる。「海鮮炊き込み玄米ごはん」は、この圧力調理から生まれる弾力ある食感を活かした海鮮風おこわ。餅米はなくともRe・De Potを使うことで、粘り気のある歯ごたえが楽しめる。

おいしさのポイントは海鮮の風味を活かすこと。隠し味でナンプラーを利かせ、ホタテの水煮缶は汁まで炊飯に利用する。圧力調理で干しエビを戻す必要もないので、より素材の風味も活きる。炊き上がった玄米は、白米と餅米の中間の絶妙な歯ごたえ。海鮮のダシが利いた、磯の旨味もたまらない。

ほかにもたとえば自動調理で「クリームシチュー」を選べばワンプッシュ、たったの17分で鶏肉・野菜の旨味が溶け込んだ滋味深いひと皿の完成。自動調理メニューはいずれも所要時間25分以内なので、慌ただしい毎日でRe・De Potが活躍する場面は多いだろう。

「中華風海鮮炊き込み玄米ごはん」はプチプチ食感の干しエビ、歯応えあるホタテなど、食感もバラエティに富む。それらの旨みを吸った玄米の香り高く、味わい深いこと。ふっくら炊き上がるため、おにぎりにもしやすい。

海鮮炊き込み玄米ごはん

【材料(2人分)】
鶏ひき肉 100g
ホタテ水煮缶 1缶
干しエビ 15g
酒 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
ナンプラー 大さじ1
ショウガ 1片
ネギ 1/3本
ごま油 大さじ1

玄米 2合
水 470cc(ホタテの水煮缶の水分込み)

パクチー 適量

【調理手順】
1.フライパンにごま油を入れ、中火で熱する。みじん切りにしたショウガを入れ、香りが出てきたら、みじん切りの長ネギを加えて炒める。

2.鶏ひき肉を入れて、さらに炒める。

3.鶏肉に火が通り始めたら、酒と砂糖(キビ砂糖を使用するとなおコクが出る)、ナンプラーを加えてさらに炒め、全体に火が通ったら火から上げる。

4. 「Re・De Pot」の内がまに玄米を入れ、水(470cc)で浸す。3.の具材を入れ、ほたて(汁も含む)と干しエビを加える。

5. 「Re・De Pot」に内がまをセットして、切り替えボタンで「圧力」を選択、調理時間を「30分」に合わせる。

6.炊き上がったら盛り付ける。パクチーをのせると、より香り高く、華やかな印象に。

おいしさそのまま、長期間保存を可能にする「FRESH&SAVE」

真空パック機にコンテナ2個(M・Lサイズを1個ずつ。ガラスコンテナとプラスチックコンテナから選択可)、バッグ4枚(M・Lサイズを2枚ずつ)が付く。キッチンになじむ、白を基調にしたデザイン。8月発売予定。「FRESH&SAVEスターター7点セット」¥11,880(税込)/ツヴィリング (www.zwilling.jp)

食をめぐる課題のなかで、最近特に取り沙汰されるのが、フードロスの問題。農林水産省及び環境省が発表した「平成28年度推計」によると、本来食べられるにも関わらず捨てられた食品は、日本国内で年間約643万tにのぼる。そこで注目を集めるのが真空保存だ。

1731年創業のドイツのキッチンツールブランド「ツヴィリング」は、高品質な包丁やナイフに定評があり、世界の料理人からの信頼も厚い。2020年からはキッチン家電分野にも進出、8月に発売予定なのが真空保存機「FRESH & SAVE(フレッシュ&セーブ)」だ。ハンディタイプの真空パック機はコンパクトで、白一色のシンプルな設計。ガラスコンテナやバッグも素材の透明感を活かしたデザインで、ドイツプロダクトの矜恃も感じるつくりだ。またフレッシュ&セーブの真空保存機能では、食材の保存期間が飛躍的に延びるだけでなく、浸透圧で下味も染みやすい。ここではその時短効果を活かした、アジのマリネ&野菜のピクルスづくりに挑戦する。

野菜のピクルスを作る。材料をバッグに入れたら、ジッパーを閉じる。まろやかな口当たりに仕上げるべく、マリネ液はリンゴ酢にハチミツ入り。レモンスライスを加えることで、暑い夏でも涼やかな一品に。

真空パック機をバッグに当てて真空にする。真空状態では浸透圧の効果が高まり、より野菜やアジにマリネ液が染み込むようになる。

アジと野菜を別々のジッパー付き保存バッグに入れて、マリネ液などを加えたら、真空器の凹部をバッグの凸部に当て、スタートボタンを押す。内部を真空にすることで、浸透圧の効果が高まり、より短時間でマリネ液が染み込んでいく。また素材の風味や旨味をキープしたまま下味がつけられるのも、真空調理の利点だろう。調味料の量も減らすことができるため、経済的かつ環境にもやさしい。

できあがったアジのマリネは、旬の鮮度そのままで、合わせたオレンジの風味も爽やか。アーモンドの風味も香ばしく、樽香の利いたシャルドネなど、白ワインに合わせたい味わいだ。セロリのピクルスも歯ごたえはシャキシャキで、こちらは爽やかな酸味のソーヴィニヨン・ブランがよく合いそうなひと皿。バッグのまま、冷凍・冷蔵保存できる手軽さがいい。

オレンジもフレッシュなままマリネを風味づけるので、爽快感がたまらない。アジは足の早い魚だが、フレッシュ&セーブを使うことで鮮度をキープしたまま長保ちさせることができる。コンテナやバッグは別売のため、買い足しも可能。

アジのマリネと野菜のピクルス

【材料(2人分)】

アジのマリネ
アジ 2匹

白ワイン 30cc
白ワインビネガー 100cc
ブラックペッパー(ホール) 大さじ1
ホワイトペッパー(ホール) 大さじ1
オリーブオイル 30cc
オレンジ 1/2個

イタリアンパセリ 適量
タイム 適量

野菜のピクルス
ニンジン 1本
キュウリ 1本
セロリ 1/2本
赤ピーマン 1/2個

リンゴ酢 100cc

ハチミツ 小さじ1
レモンスライス 1/2個
塩 適量
アーモンド 適量

イタリアンパセリ 適量
タイム 適量

【調理手順】
1.アジは頭を落として内臓を抜きとり、3枚におろす。水抜きと下味付けのために両面に適量の塩をふり、10〜15分おく。

2.鍋に白ワインと白ワインビネガー入れ、黒コショウ・白コショウも加える。火にかけてアルコールを飛ばしたら、十分に冷ます。

3.フレッシュ&セーブのバッグにアジと、2.のマリネ液を入れる。オリーブオイルとオレンジも加え封をする。

4. スティック状に切ったニンジン、キュウリ、セロリ、赤ピーマンをフレッシュ&セーブのバッグに入れる。混ぜ合わせたリンゴ酢とハチミツも加えて、レモンスライスもプラスしたら封をする。

5. フレッシュ&セーブの真空パック機の凹部を、バッグの凸部にはめ込み、スタートボタンを押す。バッグ内の空気が抜けて真空状態になったら、1時間おく。

6.皿に盛り付ける。アジのマリネには砕いたアーモンドと刻んだイタリアンパセリを、野菜のピクルスにはタイムを添える。

温度調整が可能な、コンパクトオーブントースター「HTR-P3」

リニューアルにあたり、限られたスペースでも使いやすいよう、本体の横幅を30cmとコンパクト化し、80~230℃と機内温度はより細かく設定できるように。オーブントースター「HTR-P3」オープン価格/東芝生活家電ご相談センター TEL:0120-1048-76

過熱水蒸気使用型やグリル機能の搭載など、進化する一方のオーブンレンジ・トースター業界で、いまシンプルなオーブントースターが人気だ。その理由は、なんと昨今の高級食パンブーム。2016年以降、オーブントースターの市場は、年間200万台と堅調な販売台数を誇っている。

ブームを受けて、東芝が10年ぶりにオーブントースターのスタンダードモデルを刷新。「HTR-P3」は、80~230℃と細かいピッチで温度調節ができ、これ一台で料理の幅がグッと広がる。トーストの表面をカリカリに焼き上げるなら230℃、揚げ物の温めは160℃、溶かしチョコレートづくりは80℃と、メニューに合わせて使い分けが可能で、マットブラックで統一されたデザインも洗練されたイメージだ。ここでは温度を200℃に設定して、スパイシーな味わいがビールにマッチする、タンドリーチキンを作ってみよう。

鶏の手羽元は、スパイスとヨーグルトで漬け込むことでやわらかくなる。「FRESH & SAVE」のバッグを用いて真空で寝かせれば、通常3日間かかるマリネの時間を大幅に短縮、一晩でその味わいを実現する。

十分に間隔を開けて、受け皿に手羽元を4個並べる。最後にアルミホイルを被せて5分蒸し焼きにすることで、よりやわらかく。脂も染み出て、ジューシーな歯ごたえに仕上がる。

本場インドではタンドール窯を使って、300℃以上で焼き上げるタンドリーチキン。日本の家庭用オーブンでこの高温を再現するのは難しいが、200℃をキープしてじっくり焼くことで、ふっくらとやわらかく仕上げることができる。鶏の手羽元はヨーグルトとスパイスに3日漬ける必要があるが、先ほどの「FRESH & SAVE」を用いれば、マリネする時間は大幅に短縮可能。真空の浸透圧でスパイスの風味も香る味わいを、一晩でつくることができる。

また「HTR-P3」はコンパクトだが、トースト2枚、直径20cmのピザも焼ける容量なので、手羽元も十分な間隔を空けつつ、4本を一気に焼ける。200℃で15分焼いたら、次はアルミホイルをかぶせて蒸し焼きに。完成したタンドリーチキンは肉質も柔らかく、スパイスの香味とヨーグルトのコクもたまらない。食欲が落ちる夏にかぶりつきたい一品で、シュワシュワの泡系と合わせたい左党のみならず、子どもも喜ぶメニューといえる。

インドでもスパイス料理の付け合わせの定番、トマトとレッドオニオンを添える。タンドール窯で焼く場合と異なり、肉質はふっくらと、ほどよい香ばしさに。ビールやチューハイを煽りながら愉しみたい。

タンドリーチキン

【材料(2人分)】
鶏の手羽元 8本

ヨーグルト 250cc
カレー粉 大さじ1/2
ガラムマサラ 大さじ1/2
クミンパウダー 大さじ1/2
※「タンドリーチキンの素」大さじ3で代用可
ニンニク 1片
ショウガ 1片

クレソン適量

【調理手順】

1. ジッパー付き保存袋に手羽元を入れる。ヨーグルト、カレー粉、ガラムマサラ、クミンパウダー、ニンニク、ショウガを加えたら、冷蔵庫で3日間寝かす。先ほどの「FRESH & SAVE」を併用すれば、漬け込み時間を1日に短縮できる。

2.1人分(4本)をオーブントースター「HTR-P3」の受け皿にのせ、200℃で15分加熱する。

3. アルミホイルをかぶせて、さらに200℃で5分加熱する。皿に盛り付け、付け合わせのクレソンを添える。