大海原をイメージさせる、名門「ブレゲ」による"ブレゲ"らしいスポーツウォッチ

  • 文:笠木恵司

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ブレゲ「マリーン アラーム ミュージカル 5547」。自動巻き、18Kホワイトゴールド、ケース径40㎜、3時位置にアラーム設定用、9時位置に第二時間帯表示のサブダイヤルを配置。アラームがオンの時は12時位置のロゴ下の窓に鐘のマークが現れる。パワーリザーブ約45時間、ラバーストラップ、50m防水、¥4,665,600(税込予価、今秋発売予定)

ブレゲの「マリーン」は、ダイヤルのギヨシェ彫りやローマ数字にブレゲ針、ケースサイドのフルート装飾(コインエッジ)など、クラシカルな意匠を忠実に継承する独特のスポーツコレクションです。ブランドの創業者であるアブラアン−ルイ・ブレゲは、1815年に高精度のマリン・クロノメーター(航海用精密時計)を開発。同年にフランス王国海軍の御用達時計師(オロロジェ・ドゥ・ラ・マリーン)という称号を得ており、「マリーン」はそうした彼の偉業からインスパイアされて1990年に誕生しました。2004年にリニューアルされた「マリーンⅡ」を経て、昨年は新世代モデルの先駆けとして、鮮やかなブルーのダイヤルを持つ画期的な超複雑時計を発表。


そして、今年になって、この新しいデザインコードを導入してリフレッシュされた「マリーン」コレクションが登場しました。10気圧防水のセンター3針とクロノグラフ、それにアラームと第2時間帯表示を備えたコンプリケーションの3タイプ。後者は5気圧防水なので、前述した超複雑時計と合わせて、マリンスポーツコレクションとひとくくりにできないところが、ブレゲらしいといえるでしょう。こうしたコンプリケーションもブレゲの遺産にほかならないからです。


ただし、ケース素材はホワイトゴールド、ローズゴールドに加えて、コレクションでは初となるチタンをラインナップ。軽量で強度が高く、海水の塩分などにも強いチタンはスポーツモデルでは常識的な高級素材なので、ブレゲの意気込みを感じさせます。


この新世代「マリーン」の際立った特徴は、ダイヤルに施された手彫りギヨシェによる波形の装飾です。ゴールドケースのダイヤルはブルーとシルバーの2種類ですが、どちらも同じ模様が彫り込まれており、中でもブルーダイヤルは大海原の波濤をイメージさせます。チタンだけは放射状に光を放つサンバーストになっており、雰囲気がやや異なっています。


すべてのモデルに共通しているのは、厚みのある独特のローマ数字とブレゲ針の中空部分に施された蓄光塗料です。明かりの乏しい状況でも視認性が高く、ベルトとの接合部であるラグもケースと一体化しており、装着感も向上。ムーブメントもシリコン製ひげゼンマイの採用で耐磁性も高い。つまり、新世代の「マリーン」は使い勝手に優れた実用性が最大の特長といえそうです。その一方で、秒針のエンドには海洋信号旗からブレゲの頭文字「B」をアレンジしたシンボルを造形。海とのかかわりを表現した大人の遊び心も感じさせます。


こうした実用性を象徴するモデルがコンプリケーションの「マリーン アラーム ミュージカル 5547」です。9時位置に24時間計の第2時間帯表示をもつほか、アラーム機構も搭載。3時位置の大きなサブダイヤルで時間を設定(ケース4時位置のリューズで操作)。12時位置の小窓にベルが見える時は「オン」の状態で(ケースの8時位置にあるボタンで操作)、指定した時間になるとアコースティックな音色を響かせます。アラームのパワーリザーブ表示も9時と12時の間にあり、9時のアワーマーカーの真上にある菱形を指していれば完全に巻き上げられた状態。アラームが起動すると、その針は次第に12時方向に戻っていきます。


アラームは、目覚ましはもちろん、アポイントのリマインドなど様々に使える便利な機構です。さらに第2時間帯表示も備えていることから、海外出張などで重宝するモデルです。アブラアン−ルイ・ブレゲ由来のクラシカルなデザインをきっちり継承しながらも、現代における実用性を追求。価格的には高額ですが、ハードな日常使いでも頼りになる「相棒」とするにふさわしいモデルではないでしょうか。

ブレゲ「マリーン クロノグラフ 5527」。自動巻き、チタン、ケース径42.3㎜、3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計を備えたクロノグラフ、パワーリザーブ約48時間、アリゲーターストラップ、100m防水。¥2,516,400(税込予価、今秋発売予定)

ブレゲ「マリーン 5517」。自動巻き、18Kローズゴールド、ケース径40㎜、パワーリザーブ約55時間、3時位置にデイト表示、ラバーストラップ、100m防水。¥3,348,000(税込予価、今秋発売予定)

問い合わせ先/ブレゲ ブティック銀座 TEL:03-6254-7211