イヤホンもここまで来たか! 音質のよさに心高ぶるB&O PLAYのトゥルーワイヤレス「Beoplay E8」を速攻レビュー

  • 文:高橋一史

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B&O PLAYが初めて手がけたトゥルーワイヤレスイヤホン「Beoplay E8」¥32,900(税込)

デンマークのオーディオメーカー「バング&オルフセン」のカジュアルブランド、「B&O PLAY」から初の完全ワイヤレスイヤホンが登場しました。2017年11月22日(木)から国内発売がスタートします。デザイン力に定評があるブランドの製品ですから、物欲を刺激する美しさと高級感があるのはもはや当然のこと。ここで特筆したいのは、音質のよさ。Bluetoothによる無線接続のイヤホンにつきまとう、「価格の高さに見合わない音質」という不満を払拭しそうな出来栄えです。耳の奥に差すカナル型のイヤホンで、密閉性の高いパッドを使えば外部の音を遮断でき、音漏れもほとんどありません。発売前の製品を持ち歩き、日常生活で使ってみた試用レビューをお届けします。

音楽再生に使用した機器は、iPod Touch第6世代。iOSの標準音楽アプリの「MUSIC」で聴いて驚いたのは、音抜けのよさ。こもった印象がなく、解像度が高く、ほどよく分離します。自然な音色で鳴り、高中低のバランスが取れ、特に中高音がクリア。楽器の残響音や小さな音まで聴き取れる性能です。音の感じ方は人により差があり、求めるレベルもさまざまですから、ぜひ視聴をお薦めします。お薦めついでに言及すると、音楽アプリも「MUSIC」以外を試してはいかがでしょうか。音質を変えられるイコライザ機能や、音楽ジャンルに合わせたプリセット付きアプリを使えば、自分好みの音に近付けられます。

Bluetoothのコーデック(音声圧縮変換方式)は、iPhoneが採用している「AAC」に対応。iTunesからダウンロードした音楽データはAAC(拡張子がm4a)の圧縮ですから、Bluetoothで再圧縮されることなくイヤホンに送られ、理論上はより高音質な再生ができます。AAC非対応のアンドロイドのスマホでも、接続や再生は問題ありません。Bluetoothイヤホンにありがちな音切れや音飛びは、悪条件の都会の交差点や電車の車内でもごくわずか。ただ、通常の再生時にしばしば、ポツッとした音切れは起きます。iPod Touchとの接続では、音の遅延(ズレ)も少なく抑えられています。

また、このイヤホンのよさは、本体にリモコンとマイクが搭載されている点にもあります。タッチセンサーで再生停止、曲送り・戻し、音量調整、電話応対などが可能。左のイヤホンを一度タップし、音楽の再生を消し、マイクで外部の音を拾ってイヤホンから流す「transparency(透明)」機能もあり、レジでの会計の時、電車で車内アナウンスを聞く時などに便利です。

デザインも含め、総合的に優れた製品ですが、やや惜しいのはタッチセンサーの操作感でしょうか。街中で立ったまま片手でケースを持ち、もう一方の手で左右のイヤホンを取り外すと、手のひらの中に一度収めることになります。そのときセンサーが肌に触れてしまい、誤作動しがちです。耳への装着も、中央のセンサーに触れないように周囲を指で摘みながら奥に押し込む作業にコツがいります。センサーに触れた実感が薄いため、初めて使った時、左右のペアリング(同期)や再生機器との接続にも手間取りました。ただ、これらは慣れれば解決する問題かもしれません。

購入したらまず行うべきは、アプリ「Beoplay」のダウンロード。本体のファームウェア(制御プログラム)のアップデートに必要です。不具合が解消されたり、使い勝手がよくなることがありますので、必ずアクセスしましょう。製品に付属された冊子より詳しい使用説明も閲覧できます。さらになんと、このアプリを使えば音質をまろやかにしたり(WARM)、メリハリをつけたり(EXCITED)、音バランスを微細に調整することもできるのです。デザイン、音質、機能と三拍子揃ったこの最新イヤホンを、どうぞよき日常のおともに。

完全ワイヤレスは、自由な行動を可能にします。一度使うとコード付きに戻りたくなくなるほど。

高級メガネケースのような本革張りのバッテリー内蔵ケースは、最大2回分充電可能。イヤホン本体の最大再生時間は4時間。イヤホンサイズは、W23×H20×D25mm。重量は約7g(左)、約6g(右)。

耳の形を研究し、優れたフィット感を実現したイヤホン。ポンッとセンサーをタップするリモコン操作は未来的なフィーリングです。

問い合わせ先/完実電気
TEL:050-3388-6838
kanjitsu-boplay.jp/

B&O PLAY
www.beoplay.com