ドイツの名門「A.ランゲ&ゾーネ」の真髄を象徴するトゥールビヨンに、エナメルダイヤルが登場!

  • 文:笠木恵司

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A.ランゲ&ゾーネ「1815 トゥールビヨン」。2014年に発表されたストップセコンド機構とゼロリセット機構を初めて同時に搭載したトゥールビヨンに、エナメルダイヤル仕様の特別モデルが登場。手巻き、プラチナ、ケース径39.5㎜、厚さ11.3㎜、パワーリザーブ72時間。世界限定100本。23,252,400円(税込予価)、9月以降発売予定(予約受付終了)。

ドイツの名門ブランドであるA.ランゲ&ゾーネは、革新的な発想と伝統をバランスよく共存させてきた希有なブランドです。2014年に発表された「1815トゥールビヨン」は、その真髄を象徴する存在といえるでしょう。ストップセコンドにゼロリセット機構という2つの特許技術を搭載しており、正確な時間合わせが可能な世界初のトゥールビヨンなのです。この「1815トゥールビヨン」に、エナメルダイヤルの特別限定モデルが登場しました。

トゥールビヨンは、調速脱進機構をキャリッジ(ケージ)の中にまとめて、これを1分間に1回転させることで重力の影響を平均化(相殺)する仕組みです。このため、一般の時計のようにキャリッジの中で往復振動するテンプを止めることは技術的に不可能とされていました。A.ランゲ&ゾーネは特殊なアームをテンプに接触させることで、これを停止する仕組みを開発。それだけでなく、スモールセコンドの秒針が瞬時にゼロ位置(12時位置)に戻るリセット機構も追加しました。具体的には、リューズを引くだけでトゥールビヨンの回転が止まり、同時にスモールセコンドの秒針もゼロ位置に戻るので、いつでも秒単位の時間合わせが可能になるわけです。

人を驚かせるような派手さはありませんが、複雑で難易度も高く、いわば「縁の下の力持ち」として使い勝手や精度などのパフォーマンスを向上させる新機構です。こうした開発姿勢こそが、実直で堅実なA.ランゲ&ゾーネの真骨頂といえます。

世界限定100本の特別モデルとして「1815トゥールビヨン」に追加されたエナメルダイヤルは、奥ゆきを感じさせる透明感を備えた上品なホワイト。控え目で飾り気のないシンプルな体裁が、6時位置の大型トゥールビヨンを際立たせます。12時位置の赤の差し色が効果的なアクセント。製品ディレクターのアントニー・デ・ハスさんは「赤色のインデックスを焼き付けるには別工程が必要になるので手間がかかります」として、次のように説明しています。

「エナメルは気まぐれで、様々な工程を何度も繰り返さなければなりません。表面を完璧に仕上げるために、極小のチリやホコリも許さないクリーンな環境も必要。高度な複雑機構も含めて、私たちの根底にあるのは、古典的な時計づくりを現代に継承する橋渡し役としての使命感なのです」

懐中時計の意匠を継承するアラビア数字のインデックスやレイルウェイスタイルの分目盛り、そしてブルースチールの針をアレンジ。凜とした端正極まりないケースが支えるダイヤルの中で、官能的ともいえるほど美しく造形されたトゥールビヨンが華麗な動きで回転していきます。まさに芸術品と称しても過言ではない傑作ではないでしょうか。

ストップセコンドとゼロリセット機構を備えたトゥールビヨン。

別にプリントして焼成した赤の「12」がダイヤルのアクセントになっています。


サファイヤクリスタルのケースバック。洋銀製の3/4プレートなど、ドイツ時計の伝統を堪能できる自社ムーブメントを搭載。


トゥールビヨンの動きはこちらの動画でご覧ください(モデルは2014年発売のピンクゴールドケース)

問い合わせ先/A.ランゲ&ゾーネ TEL:03-4461-8080