誰が鍵を手にするのか!? たった一台しかない、ブルガリが装飾を施した新型フィアット 500

  • 文:Pen編集部

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スポーティなモデルが数あるイタリア車のなかで、アイコニックで愛らしい存在であり続けているフィアット 500(チンクエチェント)。このたび、約13年ぶりにフルモデルチェンジを果たした。

メカニズム上の大きな変更点は、なんといってもエンジンを廃止し100%の電気自動車になったことにある。EV化させるためにプラットフォームが刷新され、搭載するバッテリー容量は42kWh。満充電時の最大航続距離は約320km(WLTPモード、2018年に制定された新しい燃費基準)と、モビリティとしては十二分と言える数値だろう。

ただ、エンジンの代わりにモーター、ガソリンタンクの代わりにバッテリーと、単なるパワートレーンの入れ替えに留まってはおらず、チンクエチェントのキャラクターを変えようという意志がとりわけデザインに感じられた。

4代目へと進化し、EVとなったフィアット 500。全長と全幅は6cm、ホイールベースは2cm大きくなった。日本導入時期や価格などは未定。

基本的な部分に極端な変更はない。しかし、いまや世界的に少なくなってしまった丸目のヘッドライトは、ボンネットが被さるようにレイアウトされたことで眼差しが鋭くなり(点灯時はボンネットにある楕円型のLEDのアーチが重なり、丸目に見えるようになる)、フロントグリル部に配されていた「FIAT」エンブレムは「500」へと変更。ボディフォルムはサイドがすっきりとシェイプアップされ、ホイールアーチが張り出したことでたくましくなった印象だ。

ボディカラーに関しても、先代が丸い餅のようなホワイトや爽やかなミントグリーンが主だったのに対して、今回のメインはまさかの硬質なガンメタリック。つまり、チンクエチェントという存在を方向転換すると同時に、さらに格上げしようとしているのだと考えられる。

そういった姿勢が伝わってくる、特別な試みも発表された。イタリアのジュエリーブランド、ブルガリとのコラボレーションだ。その名も「ブルガリ 500」。

新たに採用されたフロントの「500」エンブレムの上に、ブルガリ 500には「BVLGARI」ロゴがレイアウトされる。

ブルガリ本店などにある大理石のエントランス床に描かれている8ポイントスター。今回のコラボモデルでは、それをホイールのモチーフにしたという。

名前の通り、新型チンクエチェントの内外装をカンヴァスに、ブルガリが贅を尽くした極上の、世界で一台のクルマである。この協働に関してブルガリは「チンクエチェントとブルガリは、イタリアの人々、文化を代表するアイコン。つまり両者は、日常の美しさ、比類のない趣、想像力とともに人生を謳歌するイタリア独自のライフスタイルと同義である」といったコメントを寄せている。

ダッシュボードは彩り豊かなシルクで覆われ、アルチザンの手によって、ブルガリのアイコン“ディーヴァドリーム”の扇形モチーフが描かれた。

ステアリングホイール中央のロゴモチーフには、アメジスト、シトリン、トパーズがあしらわれ、取り外しせばブローチとして纏うこともできる。

ブルガリ 500で表現されたのは、イタリアン・グラマラス。夕陽やローマの宮殿に降り注ぐ秋の光などに着想を得たカラー塗料に、金粉が配合された煌びやかなボディのメタリックペイント。黄金の光線のようなホイールリム。扇形のモチーフが描かれた、華やかなシルクで覆われたダッシュボードとシートの刺繍。ゴールドでつくられたウェアラブルキー……。ブルガリのアルチザンによって施された目映い装飾の数々によって、チンクエチェントはクルマからジュエリーへと昇華した。

この非常に希少なブルガリ 500は、2020年7月にオークションに登場する予定だ。誰がたったひとつしかない鍵を手にすることになるのか、間違いなく注目が集まるだろう。

問い合わせ先/ブルガリ ジャパン
TEL:03-6362-0100
www.bulgari.com/ja-jp