機械そのものを愛するか、限定のダイヤ付きを選ぶか。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

機械そのものを愛するか、限定のダイヤ付きを選ぶか。

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HARRY WINSTON
ハリー・ウィンストン

「HW オーシャン・バイレトログラード パーペチュアルカレンダー オートマティック 42mm」は、閏年までを把握する永久カレンダーを搭載した複雑時計である。最大の見どころはバイレトログラード、文字盤の右が日付、左で曜日を表示するふたつのレトログラード表示の大仕掛けだ。小窓に数字を表示する生真面目さを拒否し、扇状に展開して反復する針のダイナミズムが、週と月を無限に反復してみせる。12時位置では月と閏年、6時位置にはムーンフェイズ。サファイアクリスタルのシースルーバックからムーブメントをのぞかせながら、10気圧の防水性すら確保している。  
腕時計としての価値が極めて高いこの時計には、ダイヤをセットした限定モデルが存在する。同じモデルでダイヤモンドのあり・なしがラインアップされているブランドは、よほどの自信があると思って間違いない。見比べて、“なし”が見劣りすれば時計そのものの資質が問われるし、“あり”は常にダイヤの格を詮索される。時計と宝石のどちらにも胸を張れなければ、決してやらないこと。それをためらわずに行うのが、ハリー・ウィンストンである。  
透明度の高い上質なダイヤモンドは、持ち主に男女の別を問わない。無彩色が輝くダイヤは、タキシードクロスの下にのぞく白シャツと同様、輝けど色はないものなのだ。見た目の色を楽しむルビーやエメラルドなどとは宝石としてのあり方が異なるし、男の時計がどうあるべきかの判断も変わるだろう。  
ダイヤモンドの存在が軟弱に見えず、むしろステータスを表象する。ダイヤモンドがないことは、装飾を排した機械そのものを訴求する。絶対の自信があるブランドだからこそ、それができる。宝石の価値に寄りかかることがないこの時計は、持ち主のスタイルが浮かび上がる結晶といえるのである。

  • HW オーシャン・20th アニバーサリー・バイレトログラード パーペチュアルカレンダー オートマティック 42mm

    ●自動巻き永久カレンダー、18KWG、ケース径42.2mm、91個(約4.41ct)のバゲットカット・ダイヤモンド、10気圧防水。¥15,390,000(税込)

  • HW オーシャン・バイレトログラードパーペチュアルカレンダーオートマティック 42mm

    ●自動巻き永久カレンダー、18KWG、ケース径42.2mm、ケース厚11.92mm、パワーリザーブ72時間、シースルーバック、アリゲーター革ストラップ、10気圧防水。¥6,966,000(税込)

●ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション TEL:0120-346-376

機械そのものを愛するか、限定のダイヤ付きを選ぶか。