これぞ年の瀬“東京クラシック”!? ミュルザンヌが、ベ...

東京車日記いっそこのままクルマれたい!

第77回 BENTLEY MULSANNE SPEED/ ベントレー ミュルザンヌ スピード

これぞ年の瀬“東京クラシック”!? ミュルザンヌが、ベントレーのリアルである理由。

構成・文:青木雄介

編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

クルマの特性がスタイリングに表れているクラシカルな外観。

 ベントレーのフラッグシップにして大いなる遺産でもあるミュルザンヌには、「機会があれば乗ってみたい」とずっと思っていた。それも新型になる前に。ちょうどラッパーのナズのドキュメンタリー映画を観ていたら、アニメの回想シーンで、乗り回していたのがこのクルマだったというのもある。希代のリリシストとベントレーっていう個人的な興味もあった。  

それはともかく、このミュルザンヌはベントレーの“レガシーの塊”とも言える車種。そんなベントレーのレガシーを語る上で外せないのが、搭載された6.75ℓのV型8気筒OHVエンジンの存在なんだな。  

ベントレーには改良されたW型12気筒エンジンがあり、本筋であればこのエンジンを搭載するのが望ましい。だがこのクルマに搭載されたのは、伝統的なV型8気筒エンジンだった。これはかつての兄弟会社であるロールス・ロイスの遺産そのままの、通称Lシリーズ(L410)エンジンに他ならない。このLシリーズのV型8気筒エンジンはそれこそ1950年代から使用されていて、ロールス・ロイスとベントレーの心臓を50年近くも支えてきた。その特性は脈々と受け継がれてきていて、今日に至る。ベントレーはとにかくこの排気量、この気筒数にこだわっていて、ミュルザンヌに乗ることは、つまりこの歴史と遺産を携えて走るということに等しいというわけなんだ。

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