次亜塩素酸水で空気を洗う、 新しい発想の空気清浄機「ウイルスウォッシャー」

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    次亜塩素酸水で空気を洗う、 新しい発想の空気清浄機「ウイルスウォッシャー」

    内部3層のフィルターで空気を清浄し、電解水を浸透したフィルターで除菌を行っている。¥98,780(税込)

    いまはなき三洋電機が開発した電解水技術”ウイルスウォッシャー”が、パワーアップして帰ってきた。それが、三洋電機出身の亀井隆平氏が立ち上げたシリウスから9月下旬に発売された次亜塩素酸空気清浄機「ウイルスウォッシャー」だ。

    シリウスは世界初の水洗いクリーナー「スイトル」など意欲的な製品を企画・開発してきたが、今回も同様だ。長年愛されたウイルスウォッシャーの技術が、いまこそ必要とされているという熱い想いから奔走し、見事にそれを復活させたのだ。

    ところで電解水技術とはなにか。水道水を電気分解することでできた電解水をミスト状に放出し、これに含まれる次亜塩素酸とOHラジカルという活性酸素により花粉などのアレル物質やウイルス、臭いを除去するという技術だ。三洋の電解水技術は当時、空気清浄機や加湿器の他、病院や映画館などの広い空間で使われる業務用製品にも応用されていた。

    シリウスの空気清浄機は水道水に少量の食塩を加えることで、より強力な電解水次亜塩素酸水を生成。回転式の除菌フィルターに含水し、そこにHEPAフィルターで清浄された空気を透過させることで、集塵・消臭・ウイルスなどの除菌までをオールマイティに実現させている。

    特徴的なのは、加湿空気清浄機とは謳っていないものの、電解水次亜塩素酸水生成のための水タンクを備えているため、気化式の加湿能力もあるということだろう。同機にはフィルムケースほどの塩用のさじ付きボトルが付属。そこに家庭用の食塩を入れておき、1回当たり0.8ℊ~2ℊを計量して、水タンクに入れる仕組みだ。タンクを引き出すと、その奥に塩ボトル用の小さなスペースが用意されているのが好ましい。

    実際に使ってみると、急速で連続40分除菌清浄運転する「パワーモード」では、かすかにプールを思わせる塩素の臭いがするものの、自動運転ではほとんど気にならない。自動運転ではセンサーの感知によって上ルーバーと左右ルーバーが汚れの種類によって効率的に動く。通常は自動で、臭いが気になる時や、外出先からの帰宅時など除菌効果を高めたい時に意識的にパワーモードで運転させるのがよさそうだ。これからの季節、乾燥しがちだが除菌脱臭とともに、室内を加湿してくれるのが一石二鳥。HEPAフィルターの他にも活性炭プレフィルター、花粉吸着フィルターを備えた3層構造になっているのも心強い。ペットを飼っている家にもお薦めだ。

    空気清浄・空間除菌の能力はいずれも25畳まで。ヘアライン加工されたステンレスの前パネルが美しく、広めのリビングにもふさわしい凛とした風格がある。その名も“ウイルスウォッシャー”。まさにいまの時代にぴったりではないか。

    電解水を生成するタンクに少量の食塩を加えることで、除菌力がアップ。家庭用食塩も使えるため、取り入れやすい。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載