高貴な伝統色の存在感を、目で楽しむか耳で味わうか。

  • 文:並木浩一
  • 写真:宇田川淳

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両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

高貴な伝統色の存在感を、目で楽しむか耳で味わうか。

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CAMPANOLA
カンパノラ

「カンパノラ」は、ジャパンメイドを代表するコノシュア好みの腕時計だ。いくつもの海外ブランドを傘下にもつシチズンであっても、ディレッタントを極めるデザインは出色。恐れを知らない大胆さはブランドの幅を広げ、支持を得てきた。
世界のデザインシーンを相手に一歩も引けを取らない魅力の逆説的な一面が、「和の魅力」だ。日本の伝統技法を凝らした仕掛けの中でも、古来からの伝統色を文字盤に用いたコレクションはひと際、目を引く。「深緋(こきあけ)」色の文字盤をもつモデル群は、その代表格だ。
エコ・ドライブを搭載したトリプルカレンダーの新作は、サブダイヤル表示の月・日・曜日にムーンフェイズの構成を採った。6時側で圧倒的な存在感を見せる深緋のサブダイヤルは、宇宙船の窓に広がる、若く燃える地球を表現。太陽に見立てた12時のサブダイヤルと対比させる。
一方、“グランドコンプリケーション”の新作も魅せる。シチズンが生んだ名高い傑作クオーツ・ムーブメントは、ムーンフェイズ付きのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフに、音で時刻を知らせるミニッツリピーターさえも装備。カンパノラ独特の立体的なダイナミズムを聴覚にまで拡大するのである。
深緋という聞きなれない名は、460色を超えるともいわれる日本の伝統色の中で、とりわけ高貴な存在だ。8世紀の「養老律令」では位階で衣服の色を定めているが、深緋は『四位の色』。一位から三位は皇族と公卿が独占したので、民間人では最高の色ということだ。英雄たちに許された深緋は、絹織物の場合にはアカネと紫根を染料とした。その色を、カンパノラは丹念な漆塗りで仕上げる。この腕時計に重ねられるのは、持ち主を特別に見せてきた色の伝統なのである。

  • エコ・ドライブ
    深緋(こきあけ)BU0040-06W

    光発電エコ・ドライブ(フル充電時約6カ月駆動)、クオーツ・ムーブメント精度:±15秒/月、ステンレス・スチール、ケース径41mm、ケース厚13.3mm、漆塗り文字盤、ムーンフェイズ、ワニ革ストラップ、日常生活用防水。¥286,000(税込)


  • グランドコンプリケーション
    深緋(こきあけ) AH4080-01Z

    クオーツ、ステンレス・スチール、ケース径43mm、ケース厚16.5mm、漆塗り文字盤、ミニッツリピーター、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー 、クロノグラフ、24時間表示、ワニ革ストラップ、日常生活用防水。¥440,000(税込)

シチズンお客様時計相談室 TEL:0120-78-4807