初代誕生から50年、料亭の味を生む究極の炊飯器。
青野 豊・写真
photographs by Yutaka Aono

初代誕生から50年、料亭の味を生む究極の炊飯器。

カラーは写真のストーンブラックと、コーラルホワイトの2色で展開。¥140,800(実勢価格)

タイガー魔法瓶は、1970年に初代モデルを発売した炊飯器「炊きたて」シリーズの50周年記念モデルとして、「ご泡火炊きJPL-A100」を9月10日に発売した。同社の炊飯器は値ごろ感のあるスタンダードモデルから、10万円越えの高級炊飯器まで数多くのラインアップを揃えているが、内鍋に三重県四日市市の伝統工芸品である「四日市萬古焼」を使用した“本土鍋”と、独自の熱制御テクノロジーがなによりの特長と言えるだろう。

このモデルでは、最高温度約280度の土鍋の遠赤効果による輻射熱で米の旨味をじっくりと引き出す。それに加え、段階的に圧力をコントロールすることで仕上げ段階の蒸らし温度を高く維持させながら、ゆっくり変化させ、お米の甘みとハリを引き出す「丹精仕上げ」を採用している。また2019年より搭載された、専用の土鍋中蓋を用いて炊飯空間を小さくすることで、少量の炊飯でもお米に熱を均等に伝え、香り高く、甘みのあるごはんに仕上げる「一合料亭炊き」の機能が0・5合や炊き込みご飯にも対応。水分率、たんぱく質やアミロースの量など、各銘柄のもつ特徴を科学的に細かく分析し、それぞれのお米に合った炊き方で炊き上げる50種類の銘柄炊き分けも新たに加わった。

さて、その味わいはどうか。京都のとある料亭で食べた土鍋ご飯の味が忘れられないのだが、それをも超えるほどの粒感、香り、甘み、弾力。3合炊きでも、1合でも、試食した家族一同、感動の声を上げた。特に重みのある中蓋をセットして炊く1合は、カニ穴といいお米の艶といい、極上の仕上がりになった。

デザインもいい。本体ケースと蓋に段差をつけて土鍋をイメージしたフォルムは、どこか懐かしさや温かみを感じさせる。マットな質感と全方位に凹凸の少ないすっきりとしたデザインは、現代のダイニングにしっくり馴染むだろう。

そしてタイガーの炊飯器で忘れてならないのが、とことん生活者に寄り添ったUIだ。意匠性とUIとは時として相反するものだが、それを見事にクリアしている。天面に大きく備えらえたタッチパネルは電源をオンにするとホワイトのバックライト液晶に大きな文字が浮かび上がり、選びたい機能やコースに軽く触れるだけで迷うことなく操作できる。新モデルでは炊き分けのコースが格段に増えたので、この点は非常に重要だ。お手入れは内鍋と中蓋の2点だけというのも画期的だ。

強いて難を言うなら、炊飯器本体のサイズがやや大きいことか。しかしここまで見事な味わいのご飯を炊き上げるのなら、その大きささえも誇らしく感じられるに違いない。シリーズ50周年記念にふさわしい、名作の誕生である。

初代誕生から50年、料亭の味を生む究極の炊飯器。

専用の中蓋をセットすることで、少量の炊飯でも熱を均一に伝わらせ、ふっくらとした炊き上がりに。

神原サリー
新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。

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※Pen本誌より転載
初代誕生から50年、料亭の味を生む究極の炊飯器。