強い吸引力と軽さとを両立した、掃除機のエリート

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    強い吸引力と軽さとを両立した、掃除機のエリート

    バッテリーが2個付属し、最長約120分の運転が可能なEC-SR3SX。実勢価格¥97,000(税込)

    日本の掃除機市場に変化が起きている。年を追うごとに出荷台数を伸ばしてきたコードレススティック掃除機が、2018年、ついにコード付きのキャニスター掃除機の台数を超えたのだ。これまで2台目掃除機として“買い増し”する人が多かったのに、メイン機をコードレススティックに“買い替える”人が増えてきていることも一因だ。とはいえ、パワフルな高性能モデルは手元が重くて掃除がしづらいという本末転倒な状況になっているのも事実。一方、軽量モデルでは吸引力の点で見劣りがする。
    ここに一石投じようというのが、シャープから今年7月末に登場したばかりの「ラクティブ エア パワー」だ。同社では16年12月に超軽量なコードレススティック掃除機「ラクティブ エア」を発売して以来、軽量コードレスキャニスターなどを次々に発売し、今年6月にはシリーズ累計販売台数45万台を達成。新モデルは、1.9kgと軽さを維持しつつ最長で120分の運転を可能にし、大風量高圧3Dファンモーターや最適化した吸排気経路により従来機の約1.5倍の吸引力をもたせた。“コードレス掃除機の決定版”と豪語するのも頷ける一台だ。軽量化で案じられる強度も、前後方向の荷重への強度を高めるために断面を楕円化させたアルミパイプを採用するなど、抜かりない。
    さて、実際に使ってみて、その掃除力はどうだったか。これが一度掃除機をかけただけで、気持ちがいいくらいきれいになるのだ。ヘッドの向きが変えられるので、何度か押し付けないと取れにくい壁際のチリやほこりが見事にきれいになる様子には、惚れ惚れしてしまう。これは、ヘッドが壁に当たるとバンパーが押されて内側に入り込み、ブラシに密着することで吸引パワーをアップさせる独自機能のなせる業。
    2kgを切る軽さだが、既存の超軽量モデルと比べてしまうとやや重い。だがその分、ヘッドの自走アシスト機能を強化して楽に進むし、パイプの長さが絶妙で腕への負担を感じないのもいい。自立はしないが、掃除中に壁やテーブルに立て掛けても滑らないシリコン製のフックがあり、スタンド台がデフォルトで付属している。着脱式のバッテリーが2個付属するため、掃除中に片方を充電しておくこともできる。
    高いところの掃除に便利なはたきノズルや車のシートの掃除にも役立つ延長ホース、コンパクトなふとん掃除ヘッドなど、メイン機として家中の掃除に対応させるためのアタッチメントも豊富だから、掃除好きはもちろんのこと、そうでない人でもいろいろ使ってみたくなるに違いない。まずは店頭で触ってみて、その軽さと高度な掃除力を体感してみてほしい。

    ヘッド部分は自立するので、装着する際は上から本体を差し込むだけ。ブラシを付けたままでも装着可能。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載