華やかな輝きで袖口を飾るか、あえて漆黒で気配を消すか。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

華やかな輝きで袖口を飾るか、あえて漆黒で気配を消すか。

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SEIKO PROSPEX
セイコー プロスペックス

セイコーのダイバーズは、日本と世界が認めた名品だ。1965年に国産初のダイバーズとして誕生したモデルは、海に限らずあらゆるシチュエーションで冒険用の時計として使われた。68年バージョンの復刻モデルは昨年、権威あるジュネーブ時計グランプリでスポーツ部門賞を受賞。その正統に連なるのが「セイコー プロスペックス」のハイエンドコレクションとなる新シリーズ「LX(ルクス)ライン」である。
陸・海・空を想定した3モデルのうち、海のモデル「SBDB027」は、オリジナルの面影を残しながら、現代的な高級スポーツウォッチに仕上がっている。今回、工業デザイナーの奥山清行氏がブランドアドバイザーに就任。世界的な知名度をもつ氏のデザインの思想が、ラテン語で光を意味する“Lux”に名の由来をもつシリーズを磨き上げている。タフで実用的、信頼のおけるプロフェッショナルなツールが、見た目にも輝き、美しい。
返す刀でつくり上げたのが、対照的なモデル「SBDB021」である。フォルムもムーブメントも同じプラットフォームを使いながら、光り輝くモデルの対極に立つオールブラックのモデルは斬新に映える。セイコーの実用性・信頼性の上に新しい美学を立てたのは、奥山氏にとってもセイコー自身にとっても、エポックメイキングな快挙だろう。 “光”のモデルはセイコーが誇るザラツ研磨の技術を駆使し、歪みのない鏡面がケース外周を取り巻き、華やかさを見せる。一方、“影”のモデルはセイコー独自開発の表面加工技術、スーパー ブラックダイヤシールドで硬度を高めると同時に、抑えた漆黒の奥深さを得る。しかして、合わせるべきファッションの思考も広がった。袖口の腕時計は、光らせるのか、気配を消すのか。そこにあるのは双子ながら外観を違えた、絶対の存在感なのだ。

  • SBDB021

    ●スプリングドライブ自動巻き、チタン+スーパー ブラックダイヤシールド仕上げ、ケース径44.8mm、ケース厚15.7mm、パワーリザーブ約72時間(表示機能付き)、日付、強化シリコンストラップ+チタン製美錠、300ⅿ飽和潜水用防水。¥680,400(税込)

  • SBDB027

    ●スプリングドライブ自動巻き、チタン+ダイヤシールド仕上げ、ケース径44.8mm、ケース厚15.7mm、パワーリザーブ約72時間(表示機能付き)、日付、一部SS/ワンプッシュダイバーアジャスター方式ブレスレット、300ⅿ飽和潜水用防水。¥680,400(税込)

●セイコーウオッチ お客様相談室 TEL:0120-061-012

華やかな輝きで袖口を飾るか、あえて漆黒で気配を消すか。