モーリス・ラクロアで選ぶなら、お家芸のレトログラードか、ブルーの“ラグスポ”ウオッチか。

  • 文:並木浩一
  • 写真:宇田川 淳

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両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

モーリス・ラクロアで選ぶなら、お家芸のレトログラードか、ブルーの“ラグスポ”ウオッチか。

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MAURICE LACROIX
モーリス・ラクロア

モーリス・ラクロアの評判は、腕時計の「通」と呼ばれる人たちの間で、すこぶるよい。ブランド自らが知覚価値と呼ぶ、きわめて高いパフォーマンスと反比例するコストがマニアを唸らせるのだろう。玄人も認める腕時計が、そうでない人間にもふさわしいという、公平でアンビバレンツな魅力である。
特に高い評価を得てきたのが「マスターピースダブルレトログラードムーンフェイズ」に見られるような、レトログラード機構の巧みな使いっぷりだ。針が回転するのではなく、円運動の途中に設定した終点に到達するや否や一瞬でフライバックする、特別なメカニズム。文字盤に描く扇形の運針スペースは、レイアウトを破調するダイナミックなアクセントであり、高度な機械式腕時計の証明だ。さらにはムーンフェイズもフィーチャーし、複雑な表示系の魅力が完成する。懐中時計の時代から続くスイス時計の伝統技術、しかも奥義に属する技巧が活きているのが、この腕時計だ。文字盤上のクル・ド・パリ模様も、絶妙なクラシカルの趣を添える。
一方、「アイコンオートマティック39mm」は、ひと目惚れを誘われる華やかなラグジュアリースポーツ・ウォッチである。クル・ド・パリ模様を全面に配したブルーダイヤル、ポリッシュした6つのアームをあしらったサテンベゼル、マットな5連ブレスレット。仕上げのよさと格好よさが直結する腕時計は、翻ってタフな200m防水の確かなスペックを秘める。はじめ42mmサイズで発売されて、流行の39mmに追い込んだ最新モデルがいま話題の一本だ。
どちらのモデルもストラップはイージーチェンジャブル機能付き。シースルーバックからのぞくムーブメントも、仕事のていねいさを物語る。まずブランドに惚れ、それからモデルを決めても、モーリス・ラクロアならば納得がいく。

  • アイコン オートマティック 39mm

    ●自動巻き、SS、ケース径39mm、パワーリザーブ38時間、クル・ド・パリ装飾ブルーダイヤル、3時位置に日付表示、サファイアクリスタル風防、シースルーバック、SSブレスレット(イージーチェンジャブル機能)、200m防水。¥214,500(税込)

  • マスターピース ダブルレトログラード ムーンフェイズ

    ●自動巻き、SS、ケース径43mm、パワーリザーブ36時間、日付・曜日のレトログラード表示、ムーンフェイズ、サファイアクリスタル風防、シースルーバック、カーフ革ストラップ(イージーチェンジャブル機能)、100m防水。¥605,000(税込)


モーリス・ラクロア(DKSHジャパン)TEL:03-5441-4515