上品さがにじみ出る三針か、鏡のように輝くクロノグラフか。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

上品さがにじみ出る三針か、鏡のように輝くクロノグラフか。

17

AUDEMARS PIGUET
オーデマ ピゲ

「CODE 11.59バイ オーデマ ピゲ」は今年1月の発表以来、時計シーンを騒がせ続けている。なによりオーデマ ピゲの、本当に久々の新コレクション。名高い「ロイヤル オーク オフショア」「ミレネリー」が矢継ぎ早に登場したのが1990年代のことだから、ほぼ四半世紀の不在を埋めるニューカマーなのである。
寡作ながら決して“はずさない”ブランドへの期待以上に、デビューは華々しい。すべてのモデルは41mm径のケースを採用し、初手から5種類のコンプリケーションを含む、13型を用意した。全モデルに共通するのが、ラウンドのフォルムを八角形のミドルケースで支え、間を抜いたラグが上面では極薄のベゼル、下面ではわずか0.1mmの隙間でケースバックとつながる構造。ブランド名のフルレターがひとつながりになったロゴは、ゴールドを電解加工で積層させた新機軸だ。
圧倒的な斬新さに魅せられると、全モデルがブティック限定であるリファレンスの迷路に入り込む。複雑時計だけを狙う超マニア以外は「オートマティック」と「クロノグラフ」それぞれ4種、計8モデルの選択肢で惑い果てることになるだろう。
3針のオートマティックにフィーチャーされたピンクゴールド×白文字盤のモデルは、クールさの中にノーブルな筋を通す。ホワイトゴールドのクロノグラフには、ラッカー仕上げのブラック文字盤がこの上なく似合って見える。しかしながら、オートマティックにもブラック文字盤がホワイトゴールドとピンクゴールドで揃い、クロノグラフにもピンクゴールド×黒文字盤があるのだ。
さらにはディープブルーラッカーの文字盤がクロノグラフには2種のゴールド、オートマティックにはホワイトゴールドで控えている。果たして、惚れた腕時計を1本に絞るのは、正しいことなのか。心は千々に乱れるのである。

  • CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック

    ●自動巻き、自社製ムーブメントCal.4302搭載、18Kピンクゴールド、ケース厚10.7mm、パワーリザーブ約70時間、サファイアクリスタルケースバック、ブラウンアリゲーターストラップ、ブティック限定、30m防水。¥3,024,000(税込)

  • オーデマ ピゲ CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ

    ●自動巻きクロノグラフ、自社製ムーブメントCal.4401搭載、18Kホワイトゴールド、ケース厚12.6mm、パワーリザーブ約70時間、サファイアクリスタルケースバック、ブルーアリゲーターストラップ、ブティック限定、30m防水。¥4,806,000(税込)

●オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000

上品さがにじみ出る三針か、鏡のように輝くクロノグラフか。

次号予告

ファッションについて 語るときに あの人の語ること。