月の裏側を描く最新を選ぶか、月面に降りた不動の古典か。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

月の裏側を描く最新を選ぶか、月面に降りた不動の古典か。

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OMEGA
オメガ

「スピードマスター」のムーンウォッチは、月に降り立った宇宙飛行士の全員が着けた時計である。通称の“ムーンウォッチ”は、商品名というより称号というべきものだろう。そして有人月探査のアポロ計画が終了して以降、続くものはない。ムーンウォッチをつくり続け、魅力的な新モデルを繰り出せるのはオメガだけだ。その中でもいま魅力的に映るのが、「ダークサイドオブザムーンアポロ8号」である。
我々が見上げる月にはいつも“ウサギ”がいることからわかるように、地球からは月の表側しか見えない。75億人の人類のうち、裏側を肉眼で見たことがあるのは、最初に月周回有人飛行を行ったアポロ8号以降、数十人にも満たない宇宙飛行士だけなのだ。暗黒のその神秘をムーンウォッチが追体験してみせる。ムーブメント上にレーザーアブレーション(焼灼)加工で月面を再現してしまったのである。もう誰も見られないかもしれないその光景を、月の表側はスケルトンダイヤルで、裏側はケースバックから見せる。人類の叡智の記憶が、袖口を飾るのである。
一方、ムーンウォッチのオリジナルが「スピードマスタープロフェッショナル」。アポロ11号に帯同し、人類の腕で初めて月面を経験した腕時計だ。誕生から半世紀を超えてもベストセラーの座が揺るがない、文化的な存在といってもいい。
その腕時計の不動の古典は、ファッショニスタの永遠の定番。オメガはこのSSブレスレットのモデルにも、NATOストラップと宇宙飛行士仕様のストラップ、交換用のツールを付属させている。月の腕時計の神話性を守ることは、スタイルを尊重することと矛盾しない。
揺るがないルーツが全部のニューモデルにつながるコレクションで、複数の選択肢に悩むのは必然のことだ。実はどれを選んでも、後悔する必要がないのである。

  • スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン アポロ8号

    ●手巻きクロノグラフ、ブラックセラミック、ケース径44.25mm、パワーリザーブ48時間、スケルトンダイヤル、タキメーター、ブラックレザー&イエローラバーストラップ、50ⅿ防水。¥1,123,200(税込)

  • スピードマスター プロフェッショナル

    ●手巻きクロノグラフ、ステンレス・スチール、ケース径42mm、パワーリザーブ48時間、ブラックダイヤル、タキメーター、SSブレスレット(NATOストラップ・宇宙飛行士仕様のストラップ・交換ツール付属)、50ⅿ防水。¥594,000(税込)

●オメガお客様センター TEL:03-5952-4400

月の裏側を描く最新を選ぶか、月面に降りた不動の古典か。