一生ものの革ストラップで味わう、エルメスの腕時計ふたつ...
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

一生ものの革ストラップで味わう、エルメスの腕時計ふたつの愉悦。

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HERMÈS
エルメス

エルメスがパリの馬具工房から始まったことはよく語られるが、実際は「いまでも」世界屈指の高級馬具商である。オーダーメイドの鞍も製作しているし、ムチや乗馬用のクラシカルな正調ポロシャツも揃う。フォーブル・サントノーレに第一号店を構えるエルメスの製品は、馬場であっても鞍上で映えるのだ。極上の革ストラップを備えた腕時計には、そんなメゾンの光背が透ける。
ラウンドシェイプの「アルソー 78」は、定評あるロングセラーの名に誕生年を添えた、軽快なクオーツ・モデル。粒々の質感を見せるグレイン仕上げの文字盤には、“馳せる馬のたてがみ”と評されるタイポグラフィのアラビア数字。特徴的な上下非対称のラグのデザインは、まさに馬具のあぶみを想わせる。
一方、スクエアフォルムの代表は「カレアッシュ」。エルメスで「カレ」といえば世界的に有名なスカーフの一群のことでもあるが、もとは“正方形”の意味。幾何学的フォルムを活かした腕時計の最新版は、エルメス・マニュファクチュールの機械式ムーブメントを搭載し、エルメスの頭文字H(仏語で“アッシュ”)を名乗る。方形の輪郭の中に円形を大胆に引き入れた文字盤に、ゼロを添えたアラビア数字のアワーマーカー。現代的で躍動感があり、しかも洒脱だ。
アルソー 78のデザインは伝説的なデザイナー、アンリ・ドリニーによるもの。カレアッシュを手がけたのはデザイナー兼建築家のマルク・ベルティエである。切り結ぶそれぞれの個性は絶品のカーフ革、ヴォー・バレニア製ストラップで重なっている。着ける時計を選び、着けた時計の価値を上げる、最後の仕上げ。本当のサドルステッチを知るメゾンしか、こんなストラップはつくれない。魅力的なエルメスの腕時計は、カーフ革ストラップにも千金の価値があるのだ。

  • カレ アッシュ

    ●自動巻き(エルメス・マニュファクチュール H1912ムーブメント搭載)、ステンレス・スチール、ケースサイズ38×38mm、パワーリザーブ約50時間、ヴォー・バレニア製ストラップ+マイクロブラスト加工SS製バックル、30m防水。¥902,000(税込)

  • アルソー 78

    ●クオーツ、ステンレス・スチール、ケース径40mm、マイクロブラスト仕上げチタン製ベゼル、グレイン仕上げアントラシト文字盤、反射防止加工サファイヤクリスタル、ヴォー・バレニア製ストラップ(ナチュラル)、30m防水。¥412,500(税込)

エルメスジャポン TEL:03-3569-3300

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