東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第85回 MASERATI GHIBLI / マセラティ 570S ギブリ
アウェイに行くなら白のユニフォームが外せない⁉サッカーファンが乗るべき、マセラティ ギブリとは。
先日、ダンヒルのスーツに身を包んだサッカー日本代表選手たちを目の当たりにした。想像はしてたけど、めちゃくちゃ「カッコいいな」と感心したんだ。アスリートはいまを戦う職業だけど、スーツを着ることで相手やその場へのリスペクトを表せる慎み深さが、騎士道に通じるんだろうね。
それもあって無性にマセラティに乗りたくなった。特に4ドアセダンのギブリにね。母国であるイタリアのサッカー代表選手のスーツ姿は、とにかくスタイリッシュで有名なんだけど、横には断然「マセラティを置いてみたい」って思っていたからなんだ。
マセラティのギブリって2年前に大きなアップデートはあったものの、6年前のクルマですよ。でも未だに目黒通りあたりで擦れ違うと、独特のオーラにグッとくる。1966年に発表されたジョルジェット・ジウジアーロのデザインによるオリジナルは、直線的でアヴァンギャルドなスタイルが特徴のファストバッククーペ。
片や3代目となる現行のギブリは、ボディの丸みとクラシカルな曲線が優美なんだ。実際は見た目より大きなクルマなんだけど、ノーズの長さを強調したデザインに4ドアを与えた全体の構成がよくまとまっていて、ぱっと見は小振りで瀟洒なクーペに見えるのがミソ。現行車の中ではいちばんスタイルにこだわったセダンだと思うね。
走っていても、バックミラーに映る後席のドアノブやホイールハウスの優雅なプロポーションは、オーナーの所有感を高める。そんな「俺のクルマ感」がとりわけ強いから、傍目にも「どんな人が運転してるんだろう?」って気にさせられるんだよね。
クラシカルで洗練された、マセラティの入門モデル
実際に走ってみると街乗りにうってつけで、硬すぎもやわらかすぎもしない足まわりと軽快な乗り心地は快適。このギブリがエントリーモデルで1 0 0 0万円を切ることを考えるとバーゲン価格ですよ。普通に走って十分に速いし、フェラーリ製のV6エンジンを積んでるわりには控えめな音といい、運転が好きでもガツガツ走らない向きにぴったり。同じグループのアルファ ロメオのジュリア クアドリフォリオが、やはりフェラーリゆかりのV6エンジンで価格が1100万円を超えることを考えると、「なんてよく出来た子!」って愛おしくなるよね(笑)。
そんなギブリのスタイルは、イタリアらしさを重んじクラシカルに装ってるのが特徴。マセラティが不変のイタリアらしさを標榜しているからなんだけど、サッカーのクラブチームが創立時のエンブレムやタペストリーにこだわって歴史を大事にしているのと共通する感覚がある。イタリアらしく言えば“クラシコ”が息づいているよね。
今回、ひいきのサッカーチームを観戦するためにアウェイ戦が行われる松本まで遠征してきたんだけど、ギブリで行って本当によかった。アウェイ戦はホームとは違った緊張感があるし、行くたびにチームや選手やサポーターもなにもかも、スタイルのぶつかり合いを感じる。そしてそれが「楽しい」って再確認させられるんだ。
エンブレムやカラーやユニフォームでも「これが俺のスタイル」って愛せるなら、フットボールライフは上機嫌の大団円。ギブリと心が通い合う感覚があったのは、アウェイの地でそのスタイルを存分に味わうことができたから。たまには「スーツも着ないと」って気にもなったしね(笑)。
●エンジン形式:V型6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2979cc
●最高出力:350PS
●駆動方式:FR(フロントエンジン後輪駆動)
●車両価格:¥9,650,000(税込)
問い合わせ先/マセラティ コールセンター
TEL:0120-965-120
www.maserati.com