小さなボディに凝縮された、パワフルな調理術。

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    小さなボディに凝縮された、パワフルな調理術。

    最小限のサイズに、強力なオーブン機能を凝縮。W44×H22.5×D35.5㎝。実勢価格¥21,000(税込)

    毎日の料理がぐんと楽しくなる小さなオーブンが発売された。イタリア発デロンギの「スフォルナトゥット・イーヴォ ミニコンベクションオーブン」だ。スフォルナトゥットとは「なんでもオーブンから取り出す」という意味。つまり、オーブンがあればどんな料理もお任せでおいしくできるということ。日本ではオーブン料理というと特別な日のものと考える人が多いかもしれないが、とても手軽で万能な調理家電なのだ。
    100Vと電圧が低い日本で大きなオーブンをハイパワーで使おうとすると予熱や調理に時間がかかりすぎるが、本製品はオーブントースターと変わらない大きさで、高さも少し低めでよりコンパクトに感じるくらい。だから効率がよく、置き場所にも困らない。しかも熱を対流させて食材を包み込むように火を通すコンベクション機能を最大限に引き出すべく開発された新型のファンとファンカバーで、ムラなくおいしく焼き上げられるように設計されている。
    使い方も簡単だ。操作部にあるのは100℃から230℃まで調節可能な温度ダイヤルと、最大45分までセットできるタイマーダイヤル。そしてヒーター切り替えとコンベクションのオン/オフのためのボタンのみ。中までしっかり火が通り、表面がカリッと仕上がるコンベクション機能が魅力だが、ケーキなどをしっとり仕上げたい時には上下ヒーターだけのオーブンに、グラタンなど焼き目をつけたい時には上ヒーターだけのグリルを使う。
    フライパンでは焦がしがちなブリの照り焼きも、下味をつけたブリを付属のオイルプレートにのせ、180℃のコンベクションで15分調理すれば、途中でひっくり返す必要もなく身はふっくら、ちょうどいい焼き加減に。プレートをセットするトレイ部分に薄切りにしたレンコンを並べて一緒に調理すると、ブリの脂と旨味とが染み込んだ副菜も同時に出来上がる。調理中には右奥の庫内灯がオレンジに光って食材を照らし、なんとも幸せな気持ちになる。
    その他、付属のピザストーンでこんがりピザも焼けるし、ローストチキンやロールキャベツ、スペアリブなどもお手の物。4枚まで予熱なしでスピーディに焼き上げる極上のトーストもお薦めだ。
    扉を開く時にわかる堅牢で安心感のあるつくりは、さすが熱を逃がさないように考えられた二重構造の“オーブン”ならでは。ホワイトのボディに操作部はブラック、ダイヤルのワインカラーがアクセントになっていて美しい。オーブンレンジを何台も所有し、トースターさえ2台キッチンに並ぶ我が家だが、あまりの使い勝手のよさと料理の仕上がりのよさに、今回の執筆にあたりお借りした実機をそのまま買い上げたことを伝えておきたい。

    付属品にはピザストーンも(写真右下)。食材から出る水分や油分をほどよく吸収し、パリッと焼き上げる。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載