ミラーレスが、ついに妥協なきプロの領域に。
家電コンシェルジュ
concierge 麻倉怜士 Reiji Asakura
デジタルメディア評論家。1950年生まれ。デジタルシーン全般の動向を常に見据えている。巧みな感性評価にファンも多い。近著に『高音質保証!麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。

青野 豊・写真
photographs by Yutaka Aono
パナソニック ルミックス S1R
Panasonic LUMIX S1R 〈ミラーレス一眼〉

ミラーレスが、ついに妥協なきプロの領域に。

4730万画素という、より高画素の「S1R」。ズームレンズ(24-105mm)キットを用意。実勢価格¥621,950(税込)

パナソニック初のフルサイズミラーレス一眼カメラ「ルミックス S」シリーズ。大きくて、重たい。本体はバッテリーを入れて約1㎏。ミラーレスなのにまるで旧式のミラー付き一眼レフのようだ。キヤノンやニコンのフルサイズミラーレスが600ℊ台と軽量なのに、2008年に世界初のミラーレス一眼を発売した開拓者であるルミックスが、こんな時代錯誤のカメラをつくってよいのか。価格も眼を剥く。S1は約31万円、S1Rは約50万円もする。
でも、これぞ「プロのカメラマンに使ってもらえる、徹底的に性能と操作性を高めた一眼カメラ」をつくりたいとの思いの結集だ。ルミックスはこれまで小さなサイズのセンサー「マイクロ・フォーサーズ」(17・4×13mm)で一眼カメラを展開し、特に動画撮影性能では高く評価されてきたものの、静止画のプロカメラマンには物足りなかった。
ところが、フルサイズの開発にあたって、実はルミックスにはプロ向けのニコンやキヤノンには絶対にまねできない強みがある。青天井の開発だ。ニコンやキヤノンではプロに支持されている自社のミラー付きの一眼レフの聖域は侵せない。でもルミックスには温存しなければならないものなど、もとよりないのである。捨てるものがないから、思い切り性能に振った、ものづくりができる。それこそが、フルサイズ最後発のルミックスの圧倒的な強みだ。
つまりSシリーズの大きさ、重さは「妥協のない性能追求」の結果。レンズ内+ボディ内と両者で効かせる強力な手ブレ補正、人の顔・瞳認識に加え、鳥類・イヌ科・ネコ科にも対応したオート・フォーカス、コントラストと精細感が豊かで鮮明な電子ビューファインダー、優れた防塵防滴性能……と高性能ぶりを書いたら、いくらでも紙幅が要る。レンズも、50mm F1・4が955ℊという重さで画質を追求した。
操作性は大サイズを最大限に活かし、ワンボタン=1機能を徹底。盛りあがったボタン形なので、指先で認識しやすく、配置も機能的なので、ファインダーを目に密着させながらのブラインド操作も可能だ。この大きさだから可能になるボタンレイアウトが、正確な操作を支える。
シャッターの感触も快感だ。大きな一眼レフのように重たい振動はないが、軽めのミラーレスとは明らかに違い、金属幕シャッターがカチッと走る音が楽しい。
画質は非常に精細で、細部までの磨き込みに刮目。暗部、中間部、そして高輝度部で階調情報が多い。しっとりと濡れた感覚と華やかでゴージャスな色彩感が巧みに共存している。光の粒子の煌めき、陰影が美しい。合焦部の精細感に加え、ボケがクリアで上質だ。最高峰ミラーレスの登場を喜びたい。

ミラーレスが、ついに妥協なきプロの領域に。

各設定値をひと目で確認できるサブ液晶。F値やシャッタースピード、露出補正などの撮影設定を表示可。

パナソニックお客様ご相談センター TEL:0120-878-638

※Pen本誌より転載
ミラーレスが、ついに妥協なきプロの領域に。