生活スタイルからSDGs、考え抜かれた美しいシャープの冷蔵庫。

  • 写真:青野 豊 photographs by Yutaka Aono

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生活スタイルからSDGs、考え抜かれた美しいシャープの冷蔵庫。

写真のダークメタルの他、明るいシルバー系色のライトメタルカラーもある。実勢価格¥294,800(税込)

昨今の冷蔵庫の2大トピックスは、驚くほど省エネ性が高まったことと、省スペースかつ大容量ということだろう。ところが省スペースというのが曲者で、幅こそぴったり納まっても、奥行きが巨大化してぐんと前に突き出てしまう。奥行きのことを失念して購入してしまい、キッチンやダイニングのインテリアを著しく損なうことに気付いた時の絶望感たるや。この由々しき問題に真正面から取り組んだ冷蔵庫が、シャープから発売された。

奥行き63cmの薄型設計で、システムキッチンや食器棚と並べても面のラインが揃い、すっきり納まる。容積効率を高め、457Lと容量もたっぷり、大容量冷凍室「メガフリーザー」も備える。フレンチドアと、左右両方に開く「どっちもドア」の2モデルの展開も嬉しい。

シャープのチャレンジは薄さだけではない。SDGsの観点から、リサイクルが難しいガラス面材を避ける動きが各社から出てきている。その背景も考慮し、この冷蔵庫では業務用にあるようなステンレスや柄のシートを張った鋼板ではなく、アルミ素材をベースにしたメタルドアを採用。さらにハンドル部は木目調のデザインにすることで、金属製品であるがどこか温かみを感じさせる。特に秀逸なのがハンドル部の傾斜で、これによりウォールナットの木目調が主張しすぎず、かといって隠れすぎず絶妙な塩梅で目に映るのだ。ダークメタル、ライトメタルの2カラーともにマット調に仕上げ、それぞれ木目調ハンドルのトーンも合わせてあるので、多彩なインテリアにフィットしそうだ。メタルドアはガラスやステンレスドアと比べて軽いため、ドアの開け閉めも軽やか。使い勝手も優秀だ。

冷蔵庫としての機能はどうか。買い物の回数が減り、食品の買い置きや作り置きが増えていることに着目し、チルドルームを2段で設えた。1段目は密閉構造の約0~2度の「うるおいチルド」で、ラップなしでも刺し身やサラダを瑞々しいまま保存でき、ハムやチーズの風味を保つ。2段目はさらに温度を下げたマイナス約2~0度の低温制御で、「作りおきルーム」とし、総菜や買い置きの生鮮食品の保存に適したスペースに。冷凍室の上段では20分で粗熱取りができ、菌の繁殖を抑制して、ビタミンCの残存率を上げる「作りおき急冷モード」も搭載されており、連携させて使う提案も心憎い。

その他、人感センサーと音声対話によるコミュニケーション機能で近所の特売情報を得たり、伝言機能による見守りも。立った姿勢でも楽に野菜が取り出せる真ん中に野菜室を配置し、プラズマクラスターの集中シャワーモードによる清潔機能までも付いている。この美しい冷蔵庫に喝采を送りたい。

シックなダークメタルのドアに、ウォールナット調のハンドルが映える。角度を付けて、より使いやすく設計した。

神原サリー
●新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。東京・広尾の「家電アトリエ」をベースに、テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
※Pen本誌より転載