週末の先輩は森を目指す!? レンジローバーのPHEVで、二拠点ライフに憧れる!

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第104回 LAND ROVER RANGE ROVER AUTOBIOGRAPHY PHEV / ランドローバー レンジローバー オートバイオグラフィ PHEV

    週末の先輩は森を目指す!? レンジローバーのPHEVで、二拠点ライフに憧れる!

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    初のプラグインハイブリッド仕様となるレンジローバー PHEV。

    つくらないメーカーは「ほぼない」という、高級SUVが百花繚乱のこの時代に、元祖とも言えるレンジローバーですよ。それも同ブランド初のプラグインハイブリッド(PHEV)で、フラッグシップのレンジローバー オートバイオグラフィに乗る。PHEVという最新のパワートレインを擁して、「これぞレンジローバーの真髄」と言える乗り味をどこまで体現できるのかが、最も興味を惹かれた理由だった。

    そもそもレンジローバーに乗る醍醐味というのは、陽性で質感の高いインテリアにV8エンジンに代表される圧倒的な地力、それでいて雲の上を走っている天上人のような乗り心地のよさにある。新たに参入してきた多くの高級SUVも目指すところは変わりないんだけど、彼らが東京のクルマ風景に入ってくるにつれ、レンジローバーは独特の際立ち方をしているように見えるんだ。それはある種の落ち着きと、ぎらつき感のなさなんだな。

    特に東京の麻布、白金あたりで、リアエンドが全体より小さめに演出されたハンサムなレンジローバーの後ろ姿を見かけると、「いいねぇ」と声が出る。押し出しはなくとも、ふと目に留まるエレガントさ。老若男女を問わず誰が運転していても気になるし、改めてこの境地に達しているレンジローバーのすごみに気づかされるっていうね。4代目となる現行のL405型は、既に8年目を迎えるロングモデルなんだけど、細かく年次変更が加えられていてエクステリアもインテリアも古さは感じない。そして導入された新パワートレイン、PHEVは素晴らしい。むしろ2020年代においてレンジローバーらしい英国流の洗練された高級感を味わうには、V8エンジンのモデルよりPHEVなのではないかとも思ったんだ。

    レンジローバー PHEVは、ちゃんとバッテリーが残っている状態でのパラレル・ハイブリッド走行が素晴らしい。基本的なスタンスとしては、音もなくクルマは走り出し、気づかないうちにエンジンがサポートするハイブリッドなんだけど、たとえハイブリッド走行にしていても電気自動車(EV)の性格が強い。それでいて回生ブレーキで電力を回収しようとする素振りが感じられないから、同じグループであるジャガーのEV、Iペイスとはまったく違う。フラッグシップはなにも我慢していないのね(笑)。

    静かなること山のごとし。システム合計のパワーは404馬力で、トルクが最大640Nm。2.6tを超える巨体が、知性と極上の静粛性を纏って走り出すさまを想像してほしい。足まわりのエアサスは分厚い雲の上を走っているかのよう。これが首都高やワインディングでつい巡航速度高めにカーブに入ったりすると、さすがにロールを抑えられないのね。でも実は、いちばん感激したのがここだったんだ。

    高級SUVの元祖が贈る、PHEV仕様の旗艦モデル

    このロールが発生することを、ランドローバーがわからないはずがない。当たり前に足元を固めるセッティングにすればいいし、ただただそれによって相殺される乗り心地を悪くしたくないためだよね。それとともにレンジローバーで攻める姿勢、またはロールを発生させるような巡航速度高めの運転は、「しないでください」って言っていると理解できたんだ。

    そんな走りはそもそも似合わないし、その代わりレンジローバーらしい「乗り心地を貴方に」ってことなんだな。圧倒的に正しいよね。そりゃ、レンジローバー スポーツだってあるわけだしね(笑)。それでいて驚かされるほどハンドリングは素直だったことも付け加えておこうか。

    パワートレインは2ℓの直列4気筒エンジンに、モーターを組み合わせている。普通充電でチャージして、フル充電まで約8時間。本来はEV走行で50km以上走る計算なんだけど、普通に気持ちよくアクセルを踏んでいると、どんどんバッテリーの電力は減っていってしまう。理想的なのは街乗りでEVモードを使いながら、毎日家に帰って充電するスタイル。

    バッテリーが完全にジリ貧になってエンジンだけの走行になったとしても、走り出しや加速で上手に電気を使って走るから、気になるほど大きな差はない。ロングドライブではこのパラレル・ハイブリッド走行が肝になると思うんだけど、自然の中をゆったりと走っていると、やわらかい加速と優しい足まわりが穏やかな時間を運んでくる。まさにレンジローバー50年の歴史に思いが至る、という感じだったね。

    街ではEVドライブ、週末はパラレル・ハイブリッド走行で森に分け入る。別荘で薪を割り、暖炉の火を見て、谷間の水でコーヒーを淹れる。そして開高健の紀行文や駒沢敏器のエッセイ、ヘンリー・デヴィッド・ソロー、またはリチャード・ブローティガンなんかの作品を読みふける。ライフスタイルでも都会と自然のハイブリッドを楽しむ、敬愛すべき大先輩のためのレンジローバー。そんな人生のハイブリッドとも言うべき、二拠点生活なライフスタイルの趨勢はいまに始まったことじゃないし、だからこそ選びたいレンジローバーって感じ。その街と自然を優雅に乗りこなすイメージもまた、不変だよね。

    • フル充電に要する時間は4~8時間ほど。

    • センターディスプレイで残電池量と走行可能距離が確認できる。

    • 本革シートにはヒーター&クーラーに加え、マッサージ機能を搭載。

    • 現行型からオールアルミ製モノコックボディを採用し、軽量化が図られた。

    • お馴染みの分割式テールゲートは開いた状態で腰掛けることも可能。

    • シャシーには環境に配慮した再生アルミニウムを用いている。

    ランドローバー レンジローバー オートバイオグラフィ PHEV
    ●サイズ(全長×全幅×全高):5005×1985×1865mm
    ●動力ユニット:直列4気筒DOHCターボ+モーター
    ●排気量:1995cc
    ●最高出力(合計値):404PS
    ●駆動方式:4WD(フロントエンジン4輪駆動)
    ●車両価格:¥18,310,000(税込)

    ●問い合わせ先/ランドローバーコール
    TEL:0120-18-5568
    www.landrover.co.jp