40年代ミリタリーと70年代の未来派は、 いまなお新鮮だ。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

40年代ミリタリーと70年代の未来派は、
いまなお新鮮だ。

55

HAMILTON
ハミルトン

ハミルトンがアメリカ発祥であることはよく知られている。創業は1892年のペンシルベニア州ランカスター。1969年以降はスイスで生産されているが、貫かれるスピリットはいまもアメリカン魂が色濃い。そのルーツとも言える名品が「カーキ フィールド メカ」である。

「カーキ」といえば、そもそもはハミルトンがアメリカ軍に供給したミリタリー・ウォッチだ。黒ダイヤルには大小の差をつけたアラビア数字の24時間インデックス、マットなスチールケース、そして一本通しのNATOストラップ。本物の兵士が身に着ける時計を、ハミルトンは100万本以上生産した実績がある。「カーキ フィールド メカ」は1940年代に製造されたモデルを忠実に再現した。搭載するのは当時と同様に手巻きムーブメント。オリジナリティとして重要なのは、リューズを引いて秒針を停止させるハック機能の装備だ。任務の前に部隊全員が秒針を合わせるアメリカ陸軍の時計には重要なファンクションである。

一方、「ハミルトン PSR」は、70年代にハミルトン・ウォッチが打ち立てたレジェンドを継承する、瞠目の腕時計である。ベースは、針もなく、電気で動く世界初のLED式デジタル時計として登場した「ハミルトン パルサー」の73年モデル。クッション型ケースも同じサイズで再現し、幅広のスクリーンが70年代の未来観を象徴する、魅惑のレトロフューチャー・デザイン。ディスプレイは液晶と有機ELのハイブリッドにアップデート、風防もサファイアに変更し、しかもフォルムはオリジナルのまま。全米を熱狂させ、プレスリーやキース・リチャーズ、フォード大統領も飛びついた「パルサー」のオーラは不変である。

ハミルトンの古くて新しい魅力を存分に堪能できる、ふたつのモデル。時代を超越して、いつまでもフレッシュに映えてみせる。

  • カーキ フィールド メカ

    ●手巻き、ステンレス・スチール、ケース径38mm、ブラックダイヤル、ホワイトラッカー仕上げ時分針+サンドカラーのスーパールミノバ夜光、サファイアクリスタル風防、テキスタイル製NATOストラップ+ピンバックル、50m防水。¥63,800(税込)

  • ハミルトン PSR

    ●デジタル表示クオーツ、ステンレス・スチール 、ケースサイズ34.7×40.8mm、常時点灯LCDと赤色発光OLED(有機EL)のハイブリッドディスプレイ、サファイアクリスタル風防、ステンレス・スチール製ブレスレット、100m防水。¥99,000(税込)

ハミルトン/スウォッチグループジャパン TEL:03-6254-7371

40年代ミリタリーと70年代の未来派は、 いまなお新鮮だ。