お待たせしすぎたかもしれません。メルセデスのGクラスに、待望のディーゼルモデルがやって来た!

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    東京車日記いっそこのままクルマれたい!

    第103回 MERCEDES-BENZ G 350 d / メルセデス・ベンツ G 350 d

    お待たせしすぎたかもしれません。メルセデスのGクラスに、待望のディーゼルモデルがやって来た!

    構成・文:青木雄介

    編集者。長距離で大型トレーラーを運転していたハードコア・ドライバー。フットボールとヒップホップとラリーが好きで、愛車は峠仕様の1992年製シボレー カマロ改。手に入れて11年、買い替え願望が片時も頭を離れたことはない。

    今回搭載したディーゼルエンジンはGクラス史上最もパワフルで、Sクラスにも採用されている。

    メルセデスの新型Gクラス・ディーゼルモデルがようやくデリバリーを開始した。日本では断トツでディーゼルが売れているらしく、そのおもな理由はクラスでいちばん手頃な価格と燃費のよさ。ファミリーでGクラスに乗りたいなら間違いない選択と言えるよね。そもそもGクラスは鉄板のクロスカントリービークル(CCV)故、ディーゼルに乗りたいと考える王道派も多いはず。先代のディーゼルモデルは、まさにその趣が強かった。ワークブーツで乗り込みたいし、音も振動もバイブスたっぷり。それも一興、「夢は山野を駆け巡る」ですよ(笑)。最果ての地に行くのに、「ガソリンのV8ってナンセンス。故にGクラスはディーゼル一択」って感じかな。もちろん最果ての地に行くことはないとしてもね。

    さてこの新型Gクラスのディーゼルモデルは、そんなイメージをがらりと変えてきた。高いトルクと低燃費というディーゼル車のメリットはそのままに、ディーゼルテイストは元からなかったかのように消し去られている。運転していてディーゼルのデメリットを感じるのは、車重を嫌でも意識する高速域だけ。高速域でV8モデルのG 550だと、車重に対するエンジンの圧倒的な力強さがGクラスならではの全能感を味わわせてくれるけど、物足りないのは本当にその点ぐらい。振動もほとんど感じられないほどに抑えられているし、街乗りで嬉しいトルクが効いた走り味もいい。Gクラスの場合、適度に車重を感じさせてくれるほうがその気になれていいのね。そのへんは開発側もよくわかっていて、重厚感とともに毎日乗れるGクラスとしてストレスなく使える設計にしている。

    新型Gクラスで選ぶべき、ディーゼルモデルの魅力。

    もちろん足まわりとシャシー、車重のバランスが抜群にとれている新型らしさは、ディーゼルでも十二分に味わえる。新型になってG 550もワイルドなテイストが影を潜めたけど、これは正常進化だし、ディーゼルにも同じことが言えるんだ。購入する大多数が未開の土地には行かないCCVなので、より街乗りで価格に合った上質感を提供しなきゃいけない。ディーゼル故に開発のハードルは高くなりながらも、メルセデスはその点をきっちり仕上げてきた。お約束で言えば(笑)、もともとはシカゴをレペゼンするローカルバイブスたっぷりだったカニエ・ウェストが、求道者的な性格はそのままに音楽性をよりゴージャスに変え、やがてシーンの顔になっていったって感じかな。シンプルに言うと、コアは変えずに時代に添って、ステージを自ら変えてきたってところ。

    ディーゼルの2.5tのボディで、500km走っても燃料タンク半分しか使わない燃費のよさは本当に優秀。タンクは100ℓあるから、航続距離は1000kmを余裕で超えるでしょ。タクラマカン砂漠を越えるなら、ディーゼル一択ですよ(笑)。先代のディーゼルモデルより200万円ほど高くなったものの、視点の高さとあいまった優雅なるエグゼクティブ感は、先代に比べて格別。現行のEクラスがディーゼルになった時みたいな、「えっ、これディーゼルなの!?」と素直に驚く感覚があり、メルセデスのGクラス格上げに伴う価格上昇と納得できるはず。

    新型のAMGモデルのG 63には乗れてないんだけど、それはそれで新型の上質感がアップした乗り味故に惹かれるよね。重厚感と堅牢性を無言の圧にするようなGクラスのAMGモデルも、今回の新型ばかりは「AMGならではの乗り味が好きだ」と熱狂させてくれるかもしれない。このエントリーモデル、G 350 dの完成度を考えると、ハイエンドモデルも知りたくなるんだ。メルセデスの本領であるV8エンジンは研ぎ澄まされ、贅を尽くしたインテリアが待ち受ける。高級車におけるSUV全盛の時代にあって、リアルに極地を目指せるGクラスに、AMGがなにを託したのか知りたくなるんだよね。

    • 新型ならではの常時点灯型のリングライトを搭載。

    • 新型はフロントサスペンションをラック&ピニオン式に変更し、操舵性と乗り心地を向上させた。

    • 一段高い視座がGクラスの魅力。

    • シフトをより多段化したことで低燃費を実現。

    • 伝統のラダーフレーム構造による剛健なボディ。

    • Gクラスのディーゼルモデルは、未開の原野で本来のオフロード性能を試してみたくなる。

    メルセデス・ベンツ G 350 d
    ●サイズ(全長×全幅×全高):4660×1985×1975mm
    ●エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
    ●排気量:2924cc
    ●最高出力:286PS
    ●駆動方式:4WD(フロントエンジン4輪駆動)
    ●車両価格:¥11,920,000(税込)

    ●問い合わせ先/メルセデスコール
    TEL:0120-190-610
    www.mercedes-benz.co.jp