ノックひとつで中身が見える、魔法の冷蔵庫。

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    ノックひとつで中身が見える、魔法の冷蔵庫。

    無駄を削ぎ落としたミニマムなデザインに、最新鋭の機能が潜んでいる。実勢価格¥888,000(税込)

    韓国のショールームやドイツ・ベルリンの家電見本市「IFA」の会場でたびたび目にした、あの凛として美しいLG SIGNATURE(エルジー・シグネチャー)ラインの家電が次々と日本に上陸している。これは、「ライフスタイルに家電というアート作品を」をコンセプトのひとつに掲げるLGエレクトロニクスのプレミアムブランド。日本メーカーの家電製品には見られない画期的で先進的な機能を備えつつ、上質で高級感のあるデザインに仕立ててあるのが特徴だ。
    2018年秋に発売された二層ドラム式洗濯乾燥機「デュアルウォッシュ」は、メインとなる洗濯容量11kgのドラムの下に引き出し式のミニ洗濯機を備え、分け洗いを可能にし、洗濯の仕方そのものを変えようとしている。高価だが「こういう洗濯機を待っていた!」という声は多く、今後広まっていくに違いない。
    今回取り上げる「インスタビュー・ドアインドア冷蔵庫」は、冷蔵室の右側のドアが二重になっている。窓のようなガラス扉を2回ノックすると、中が透けて明るく浮かび上がり、ドア部の庫内に何が入っているのかが確認できる“魔法”のような機能をもつのだ。このガラス扉だけを開閉することもできるので、子どもがよく飲む牛乳や麦茶のような飲料を手前のスペースに入れておけば、冷蔵室のドア全体を大きく開けなくても、簡単に取り出せる。つまり、小型冷蔵庫が手前にもうひとつ付いているといった按配だ。
    開けるたびに逃げてしまう庫内の冷気を維持して鮮度を保ち、省エネにもつながるスマートなしかけ。これは一方で、魔法の扉の向こうに今日のおやつや夜食を入れておけば、トントンとノックするだけで「これを食べて待っていてね」の気持ちが伝わる、家族間のコミュニケーションツールにだってなる。
    人が近づくと足元にライトが点灯し、片足をかざすと自動で扉が開く仕組みも便利だ。それではペットが通り過ぎるだけで扉が開くのではと心配になるかもしれないが、センサーは2カ所。足元だけでなく大人の腰の位置にもあり、両方を検知しないと開かないのでご安心を。
    広々とした冷蔵室は庫内の4面がすべてステンレススチール製で明るく、4段階のフィルターとUVランプ付きのファンにより自動で除菌・脱臭。冷蔵室内の下方にあるフレッシュケースは、肉や魚の保存に適した低温の「フレッシュ」に切り替えられる。冷凍室になっている下段の扉を開けば、引き出しが自動で手前に出てきて、しばらくなにもしないでいると元に戻るオートオープンドロワーもすごい。
    至れり尽くせりの歓迎をしてくれているような、心躍る未来感のある冷蔵庫なのだ。

    ノックすると右ドア部のガラス扉が透けて内部が見える仕組み。冷気も維持され、省エネにもなる。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載