とりどりの色に表れる、古きよきミネルバの褪せない魅力。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川淳

とりどりの色に表れる、古きよきミネルバの褪せない魅力。

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MONTBLANC
モンブラン

20世紀の初めまで存在していた「ミネルバ」というブランドネームは、いまもヴィンテージ市場でカリスマ的な人気を誇る。ロービートの古典的な機械式腕時計をつくり続け、一方でアナログ表示の機械式ストップウォッチでは世界のトップブランドでもあった。古きよきスイス腕時計の良心とも呼ばれたそのミネルバの工房は消滅したのではなく、モンブランに合流した。モンブランの名前でミネルバの伝統的な時計づくりを続けられていることは、ひとつの奇跡的な物語にも見える。幅広いモンブランのラインアップの中で、ミネルバの血脈が明らかに見えるコレクションが実に味わい深い。
「モンブラン 1858 オートマティッククロノグラフリミテッドエディション 1858」はそんなミネルバの面影が色濃い一本だ。ツー・レジスターのクロノグラフは、フォルムも数字フォントなどのディテールもミネルバの名高いヴィンテージ“キャリバー20”を想起させる。一方で、往年の名作には存在しなかったオートマティックを装備した、現代的な新作。しかし経年変化が楽しめるブロンズのケースという、2重3重の趣向が凝らされた。
中3針の「モンブランヘリテイジオートマティック」は、これもミネルバの伝説的ロングセラー“キャリバー49”を彷彿とさせるスタイル。スモールセコンドの“キャリバー48”の出車式センターセコンド機として登場した、ミッドセンチュリー期の看板モデルの勇姿が透けて見える。
ふたつの新作の大きな注目ポイントは、そのカラーリングだ。カーキグリーンの文字盤は、アウトドアでのアクティビティへの共感が明らかに見える。サーモンの文字盤は1940年代、50年代モードの華やかな香気を蘇らせる。レガシーでヒストリーであるはずのものが、現代においても目新しく、魅力を競い合うのが楽しいのである。

  • モンブラン ヘリテイジ オートマティック

    自動巻き、SS、ケース径40㎜、ケース厚11.65㎜、パワーリザーブ約38時間、ドーム型無反射コートサファイアクリスタル、SS製ケースバックにミネルバ工房のエングレービング、自社製アリゲーター革ストラップ、50m防水。¥275,000(税込)

  • モンブラン 1858 オートマティック クロノグラフ リミテッドエディション 1858

    自動巻きクロノグラフ、ブロンズ製ケース、ケース径42㎜、ケース厚14.55㎜、パワーリザーブ約48時間、ドーム型無反射サファイアクリスタル、ブロンズカラー仕上げチタン製裏蓋、ファブリック製NATOストラップ、100m防水。¥621,500(税込)

モンブランコンタクトセンター TEL:0120-39-4810

とりどりの色に表れる、古きよきミネルバの褪せない魅力。