空想のロマンが飛ぶ先は、冒険家の偉業か40年代の夢か。
両天秤の腕時計
文:並木浩一 写真:宇田川 淳

空想のロマンが飛ぶ先は、冒険家の偉業か40年代の夢か。

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LONGINES
ロンジン

ロンジンの見逃せない手腕のひとつが、過去の銘品へのオマージュだ。ときには忠実な復刻、またリデザインの手法も駆使する新作は、腕時計デザインの有力な潮流。セルフトリビュートがブランド価値を再確認させ、上のステージに進むという好循環に、ファンの異論もない。優秀なキュレーターがいるせいか、出てくる品がどれも粒揃いである。

「ロンジン ヘリテージクラシック クロノグラフ “タキシード”」は、オリジナルに忠実なルックスで復刻されたモデルだ。伝わってくるのは第2次世界大戦終結後、1940年代の華やかな香気。当時付けられたペットネームの“タキシード”は、白と黒のツートーンの連想からなのだという。そこにタキメータースケールと針のブルーが色気を添える。あえてデイト表示をなくし、自動巻きの表示もないのは、原典の完成されたスタイルを尊重した結果である。

一方、ロンジンらしいヴィンテージ・アヴィエーションウォッチの外観を採る「ロンジン スピリット」は、明確なオリジナルを特定しない。実はロンジン自身の過去の時計や航空用計器のデザインエッセンスを集大成した、まっさらな新作なのだ。トリビュートの相手は、歴史に残る冒険を経た4名の偉人。女性で初めて大西洋の単独横断飛行を果たしたアメリア・イアハート、17歳でブルックリン橋をくぐるスタント飛行に成功したエリノア・スミス、米空軍パイロットも経験した極地探検家ポール=エミール・ヴィクトール、何度墜落しても空に執着した大富豪ハワード・ヒューズ。冒険の成否に関わる計測機器を、誰もがロンジンと決めていた。そんな彼らの想いを結実させた腕時計は、COSC認定のクロノメーターでもある。

ロマンあふれる腕時計は想像力をかき立てる。華やかな歴史をもつロンジンには、夢想においても魅力的な像を結ぶ性能がある。

  • ロンジン
    ヘリテージクラシック
    クロノグラフ “タキシード”

    ●自動巻き、ステンレス・スチール、ケース径40㎜、パワーリザーブ54時間、クロノグラフ(9時位置に30秒積算計)、シルバーオパーリン&ブラック文字盤+ミッドナイトブルーのタキメーター、ブラックレザーストラップ、30m防水。¥397,100(税込)

  • ロンジン
    スピリット

    ●自動巻き、ステンレス・スチール、ケース径40㎜、パワーリザーブ64時間、COSC認定クロノメーター、シリコン製ヒゲゼンマイ、マットブラック文字盤+ドーム型多層無反射コーティングサファイア、レザーストラップ、100m防水。¥272,800(税込)

ロンジン TEL:03-6254-7350

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