使い勝手のいい小鍋と湯沸かし器の見事な融合。
家電コンシェルジュ
concierge 神原サリー Sally Kamihara
新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。

青野 豊・写真
photographs by Yutaka Aono
シロカ おりょうりケトル ちょいなべ
siroca oryori kettle choinabe

使い勝手のいい小鍋と湯沸かし器の見事な融合。

径28.2cmと、食卓に持ち運んでそのまま使えるサイズ感。ひとり分の調理にもちょうどいい。¥11,880(税込)

ありそうでなかった、“電気ケトルのような鍋”。否、“鍋として使える電気ケトル”がシロカの「おりょうりケトル ちょいなべ」だ。もともとは単身者や旅行先のホテルなどで、電気ケトルを使ってレトルト食品を温めたり、場合によっては麺類までつくってしまったりする強者がいると聞いて――もちろん電気ケトルの使い方としてはNGなのだが――ならばどちらにも使えるものをつくろうと思い立ったのだという。だが、黒一色のマット質感もスタイリッシュなこのケトルは、そんなズボラな人専用ではなく、多忙な現代人の各家庭に1台あってもいいのではと思わせる万能な調理家電に仕上がっている。
40~100℃まで無段階に温度調整できるので、緑茶や紅茶、コーヒーなど飲み物に適したお湯を沸かせるのはもちろんのこと、ありあわせの野菜や卵を落としたインスタントラーメンづくりや1~2人分の鍋など自由自在。焦げやすいチーズフォンデュや、好みの温度で飲みたい日本酒の燗もお手のものだ。
とはいえ、開発時には苦労が多かったと聞く。これまでの電気ケトルのようにポット本体にヒーターを内蔵したのでは丸洗いができないため、ヒーター部を分離させる構造にし、料理の後で丸洗いできるようにしている。その上で、電気ケトルならではのスピーディな湯沸かしを実現すべく、ポット部の底面とヒーター部をフラット×フラットではなく、凸凹状にして密着する仕様にしたのだ。これによってポット部底面の周囲が脚のような形になり、料理後にヒーター部から外してテーブルなどに直置きできる利便性にもつながっている。
電気ケトルがもつ手軽さを大切にしたかったから、注ぎ口や取っ手の形状など、限りなくケトルの仕様に近づけているのもデザイナーのこだわり。フタがしっかりとはまり、お湯を注ぐ時に外れないようにして、ケトルとしての使い方をきっちりおさえて設計されている。本体から外すと電源がオフになる安全性など機能面へのこだわりも抜かりない。
彩り用のサヤインゲンやオクラなど、ちょっとしたゆでものをしたい時にもサッとお湯を沸かして調理可能。ゆで卵づくりにもいいだろう。疲れた夜には、牛乳を温めてロイヤルミルクティーでリラックス、なんて使い方もいいかもしれない。内径18㎝ほどの大きさ感や使い勝手のよさは、アルミを打ち出した片手鍋の“行平”に通じるものがある。しかもガス台の前でなく、つくりたい場所でできるのだからなんとも便利。そしてこのデザインだからキッチンやダイニングに出しておけるのがいい。この春ひとり暮らしを始める人の必需品になること間違いなしのユニークな家電の誕生だ。

使い勝手のいい小鍋と湯沸かし器の見事な融合。

熱源部から取り外して、鍋の部分だけ持ち運ぶことも可能だ。取り外すと、自動でスイッチがオフになる。

シロカ TEL:0570-001-469

※Pen本誌より転載
使い勝手のいい小鍋と湯沸かし器の見事な融合。