ルーブル美術館に現れた、彫刻家・名和晃平の巨大彫刻。その制作現場で彼が語ったこととは?

  • ©︎Kenji Aoki©Nobutada OMOTE / SANDWICH

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ルーブル美術館に現れた、彫刻家・名和晃平の巨大彫刻。その制作現場で彼が語ったこととは?

いまパリに行くなら、どこを訪れるべきか?と訊かれたら、今年はルーブル美術館ピラミッドと答えるべきかもしれません。いまパリでは、古典から現代アートまで日本文化を紹介する「ジャポニズム2018」が各所で開催されています。 そのイベントのひとつ、ルーブル美術館ピラミッド内で開催されている彫刻家・名和晃平さんの作品が圧巻です。名和さんといえば、画素を意味するPixelと細胞のCellを組み合わせた「PixCell」という概念を軸に、さまざまな素材とテクノロジーを融合させて作品をつくり出しています。そんな名和さんがルーブル美術館ピラミッドで手がけた作品に関するビハインドストーリーが、「Pen Magazine International」で公開されました。

ムービーの撮影は、名和さんが拠点とする京都のアトリエ「サンドイッチ(SANDWICH)」で行われました。名和さんだけではなく、アーティストを志す若いクリエイターのワークショップとしても機能しているアトリエです。ちなみにサンドイッチという名前は、以前、サンドイッチ工場)をだった建物をリノベーションし、アトリエとして再生させたことにちなんでいます。

今回、ルーブル美術館のピラミッドに展示されたのは「 スローン(Throne)」と名付けられた黄金の玉座。名和さんは、数ある自身の作品の中から、なぜスローンを選んだのでしょうか? ムービーの中で名和さんは、こんなことを語っています。

「これからは、コンピューターや人口知能がもっと進化するといわれています。いっぽうで、それらが出した答えに従わざるを得ない時代が来てしまうのではないか。そんな不安が現代人の中に漠然とあると思います。新しい知性が、新たな権力の座に着いてしまうという恐怖ですね。ピラミッドは、何千年も前から残っている権力や権威の象徴だと思います。だから、今回のルーブル美術館ピラミッドでの展示では、そういった予感をスローンで表現できるのではないかと思いました」

ピラミッドと相まって、見る人をいっそう圧倒する全高10.4mの黄金の玉座。その作品に込められた想いと制作過程が、このムービーから垣間見ることができます。


©︎Kenji Aoki
©Nobutada OMOTE / SANDWICH