下町風情の残る谷中で、"旅するように暮らせる"ホテルへ

下町風情の残る谷中で、"旅するように暮らせる"ホテルへ

写真:榊 水麗 文:フィガロ編集部

「旅がしたい」。コロナの流行後、誰もがそう思ったのではないだろうか。遠出は難しいまでも、ちょっとした旅情を味わいたい。そんな夢を叶えてくれる、まったく新しいコンセプトのホテルが5月1日、東京・谷中に登場する。

住宅地に溶け込むように建つ「YANAKA SOW(ヤナカ ソウ)」。周囲を寺院に囲まれ、鳥の声も響く静かな環境だ。

その名は「YANAKA SOW(ヤナカ ソウ)」。積水ハウスが“民泊可能なマンション”をコンセプトに設計、ホテルオーナーは積水ハウス不動産東京。世界最大の旅行コミュニティプラットフォームのエアビーアンドビーと、ブランドデザインを手掛けるオレンジ・アンド・パートナーズがタッグを組み、運営にあたる。

日暮里駅、根津駅、千駄木駅に囲まれた「谷根千」と呼ばれる地域は、寺院や墓所が立ち並び、高い建物のない閑静な街並みが広がる。YANAKA SOWは、この地域のちょうど中間あたりに位置している。

エントランスの共用部。小上がりになっているスペースは畳敷きで、縁側の風景を
のんびり愉しめる。

ホテルの宿泊プランは、1泊からホテルとして利用できる「STAY plan」と、30日から365日までの長期滞在が可能な「LIVE plan」が用意されている。全13室のホテルには、短期間の滞在者と長期間の滞在者の両方が混在し、それぞれの視点で谷中の街を楽しむこととなる。施設は「第2の自宅」をコンセプトにつくられ、共用部には無料で利用できるキッチン、ランドリー、ライブラリーを用意。また各客室には大型の冷蔵庫とキッチン、広いバスルームが備えられ、まるでここに暮らしているかのように滞在時間を過ごせる。

共用部、無料で使える洗濯機の前にはカセットデッキが。ホテルをイメージした選曲のカセットが用意される。

いまの落ち着いた街並みからはなかなか想像できないが、江戸時代は色街として栄えた谷中。その雰囲気を現代に表現するべく、YANAKA SOWにはサイケデリックなネオンや、現代アートのアーティストによる作品があちこちに散りばめられ、穏やかな空間と異質に溶け合う。和をモチーフにした客室内にもアートピースが飾られ、それぞれの部屋ごとに異なるテーマの本棚が用意されている。

和風で落ち着いた室内。静かで広々した空間は、ワーケーションにも向いていそうだ。

この部屋のテーマは「禅と仏教」。各部屋の選書は、ブックディレクターの幅允孝が手がけた。

低い椅子のある部屋。こちらの部屋にある本の選書テーマは“愛とエロス”(!)。

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