超売れてます! 注目のフォトグラファー・ヨシダナギが知られざる素顔を綴る、‟意識低い系”ビジネス書。

  • 文:Pen編集部

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「こんなユルめのビジネス書があったのか!」と、本書を手に取った人は驚くかもしれません。著者のヨシダナギさんは、アフリカをはじめとする少数民族の写真を撮り、いま全国的に注目のフォトグラファー。イラストレーターなどさまざまな職業を経ていまに至る彼女ですが、いったいどんな道筋を経てきたのか……。これまで明かされて来なかったそんな素顔も含め、心の奥底をカジュアルな文体で語る本が、CCCメディアハウスから発売されました。ヨシダさん自身も写っているアフリカでのスナップ写真や写真作品、イラスト作品、オフショットも満載で、内容はエッセイに近いもの。読み手は彼女の自分語りの中から、仕事のヒント、人生のヒントを見つけ出していけるはずです。

タイトルの「拾われる力」とは、常に人のサポートを受けてきた彼女の生き方を総括した言葉。どうすれば拾ってもらえるか、好かれるにはなにをすればいいかが示されています。本人いわく「ダメな人」(本書より抜粋)であるヨシダさんの、包み隠さない語りは実にユニーク。「ネットとテレビ(と、もちろんアフリカ)から“フォトグラファー”という肩書をもらえたおかげで、私には職業ができた」 「ごく一部のものすごくマニアックな部分が特化しているおかげで、なんとか人として認めてもらえている」 「自分の得意分野以外は頑張ることができない」「自分にできないことは、できる人にやってもらえばいい」 「ニコニコしておいたほうがいい」 などなど。

この本が最も役に立つ読者は、コミュニケーション能力に自信がなく、道を一歩踏み出す勇気がない人かもしれません。ヨシダさんもスランプに陥ったときには現状をなんとか打開するための努力、本人いわく「苦のない状態」を模索し続けてきました。持ち前の人間力を活用する彼女のやり方をそのまま真似ることは叶わないかもしれませんが、目からウロコの名言(迷言?)の数々は、一読の価値ありです。

『ヨシダナギの拾われる力』
ヨシダナギ[著] CCCメディアハウス
定価:¥1,620(税込)
http://books.cccmh.co.jp/list/detail/2203