厳選された5種類の高級日本酒「長谷川栄雅」と、トップシェフが創作した酒の肴

  • 文:久保寺潤子

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5種類の長谷川栄雅はそれぞれに味わいや香りが異なるため、最適な酒器で供される。繊細な口当たりで日本酒の魅力を引き出す岩崎龍二の酒器も見目麗しい。それぞれの酒に合わせた5種類の酒の肴は、世界的に注目される志摩観光ホテルの樋口宏江シェフによるもの。

酒米の最高峰として知られる山田錦のなかでも特A地区の米を使い、1666年以来350年にわたって日本酒づくりを行う兵庫のヤヱガキ酒造。日本酒は人の手による数々の工程を経て生まれるが、ヤヱガキ酒造は古くから続く伝統の技を継承している。たとえば麹づくりでは、木箱に原料を小分けに盛って積み重ね、米の微妙な温度変化に合わせ、夜を徹して積み直す。もろみは機械に頼らず袋絞りにこだわり、したたり落ちる一滴一滴を集め、酵母にストレスを与えず抽出する。このように気の遠くなるような職人の仕事から生まれた酒のなかでも最高級ブランドとなるのが創業者の名前を冠した「長谷川栄雅」だ。職人の手技のエッセンスが凝縮されたこの酒を、最高の状態で味わえる特別な空間が六本木の「長谷川栄雅」。主役となる厳選された5種類の酒と、これに合わせて日本全国のトップシェフが期間限定で創作した酒の肴が楽しめる。

最高級の山田錦と名勝・鹿ヶ壺を源流とする伏流水によってつくられる「長谷川栄雅」は六本木の店舗とオンラインストアのみにて購入できる。栄雅 純米大吟醸¥33,000(税込)

店内に入ると壁一面を水が流れる静謐な空間が現れ、奥の座敷へと案内される。完全予約制の日本酒体験は1組4名まで。所要時間はおよそ40分で、お膳には酒に合わせた5種類の酒器が並び、酒のアテが供される。そして何よりユニークなのが店主佐藤典子さんによる酒の解説だ。名酒が生まれた歴史や地理的背景、酒とアテのマリアージュなど、ワインのソムリエ顔負けの幅広い知識と和やかな語り口に、酒もすすむ。聞けば佐藤さんは元客室乗務員のキャリアをもち、ソムリエの資格はもちろん日本酒の唎酒師の資格も持つサービスのプロ。六本木という場所柄、日本酒好きの外国人客も多いそうで、マニアックな質問にも英語で応戦するというツワモノなのだ。

街の喧騒を感じさせない静謐でモダンな和の空間で、日本酒の味わいに酔いしれたい。換気対策も配慮されている。

日本酒体験のためにこれまで酒のアテを担当したのは東京「Ode」の生井祐介シェフや大阪「La Clime」 の高田裕介シェフ、和歌山「villa aida 」の小林寛司シェフといった錚々たる顔ぶれ。そして今回2021年4月から7月までを担当するのは志摩観光ホテルの樋口宏江シェフだ。紀伊半島・尾鷲で獲れるガスエビのカクテルや真珠貝柱を柑橘風味に仕立てた一品など、繊細な日本酒を引き立てながらも樋口シェフの繰り出す「伊勢志摩ガストロノミー」の一端に触れられる。日本酒の魅力とじっくり向き合える特別な空間で、五感を研ぎ澄ませてみてはいかがだろう。

国立新美術館へ抜ける通りに暖簾を掲げる長谷川栄雅の入り口。

長谷川栄雅 六本木

東京都港区六本木7-6-20
TEL:03-6804-1528
12時〜20時
休 :火曜
コース¥5,500(1名)
1組4名まで
予約サイト:https://hasegawaeiga.com/?mode=f5#tasting

※新型コロナウイルス感染防止などの事情により、店舗の営業時間、サービスの変更などが行われる場合があります。訪問前にご確認ください。