話題沸騰中! 「スターバックス」日本初の巨大ロースタリー店に潜入、CEOに話を伺いました。

  • 写真・文:高橋一史

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中目黒に誕生した4階建て大型店、「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」。photo©STARBUCKS

「いつオープンするのか」と待ち望まれた、ロースタリー(焙煎所)を備えた世界5店舗目となる「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」が、いよいよ本日からスタートしました。オープン後4日間の早朝に限った優先入場券が用意されるなど、まるでアトラクション施設にも匹敵する注目度の高さです。昨日、2月27日に開催されたメディア向けの内覧会で目にした、驚きの一端をここにご紹介します。スターバックス コーヒー ジャパンCEOの水口貴文さんがペンオンラインに語った、この店舗に掛ける意気込みも併せてご覧ください。

すべてが新しいこの店はいわば、「コーヒー豆焙煎工場」及び「実験ラボ」です。1階のエントランスに入るとそこにはロースタリーの名の通り巨大な焙煎マシンが置かれ、店内に足を踏み入れたゲストが感じる最初の “体験” になります。高い天井に張り巡らされたパイプは、コーヒー豆の通り道。吹き抜けの最上階にまでそびえ立つ巨大な筒状の「カッパー キャスク」は、焙煎に伴う様々な設備の外側を銅(カッパー)で覆ったもの。ここが焙煎工場であることを強く印象づけます。焙煎された特別な豆の「TOKYO ロースト」は店内で袋詰めされ(その様子も閲覧可能)、全国にあるスターバックスの大半となる約1400店舗に配送され、販売されます。TOKYO ローストは、全国にスターバックス リザーブ ロースタリー 東京の存在を示すキーアイテムなのです。

1階ではコーヒー、2階はお茶の「ティバーナ(TEAVANA)」、3階ではアルコールが提供されます。4階はイベントスペースも備えています。1〜3階のどのメニューも、コーヒー豆や茶葉の可能性を広げるオリジナリティあふれるものばかり。それこそが、実験ラボたるゆえんです。コーヒーメニューは、オレンジの香るアメリカーノにシナモン入りの冷たいフォームを乗せ、デメララシュガーを振りかけた「アメリカーノ コン クレマ」(¥860、税込)、バーボン樽で熟成させたコーヒー豆を使ったコールドブリュー(水出しコーヒー)「バレル エイジド コールド ブリュー」(¥1,296、税込)など、多種多様なものが用意されています。

スターバックスが所有するティーブランドのティバーナでは、日本茶からハーブティまでが充実。「ティバーナ クリームソーダ抹茶」(¥972、税込)といった見た目にも爽やかなメニューを楽しめます。そして特に男性は、コーヒーを絡めたアルコール類も見逃せないでしょう。コールドブリューをスプレーして香らせた期間限定の「スプリングシャワー」(¥2,160、税込)、ウォッカに栗・カカオのリキュールとエスプレッソを加えた「中目黒エスプレッソ マティーニ」(¥2,160、税込)などのカクテルは、ここでしか味わえない“体験” です。

1階にある店内最大の焙煎機。奥の巨大な「カッパー キャスク」がこの店のシンボル。吹き抜けの上階まで連なっています。

上階の焙煎機と併せて、60kg入る豆袋を一日あたり約30個焙煎する機能を持っています。

1階エントランスすぐの場所にある、豆の販売スペース。コーヒー豆販売への意気込みが伺えます。

シルバーのパックは、深みのある味わいの「TOKYO ロースト」。この店では販売せず、3月20日(水)より全国で発売予定。奥の豆は店がイチオシする、今の季節だけのガテマラのブレンド。

全国のスターバックスでここにしかない、自動制御でハンドドリップと同様に煎れられるマシン「モッドバー プアオーバー」。ほかにサイフォン、クローバー、ケメックス、コーヒープレスなどの抽出方法の中から客が好きな方式を選べます。

2階フロアのティバーナ。ドリンクは右から、「ティバーナ クリームソーダ抹茶」(¥972、税込)、「ポップンティー さくらジャスミン」(¥1,026、税込)、「ナイトロ ミルクティー」(¥972、税込)

日本全国のスターバックスにとって、 “聖地”となる店舗。

アルコールを提供する、3Fの1角。カッパー キャスクは横を流れる目黒川をイメージした桜で飾られています。

ゼロからつくられたこの店の建築を手がけたのは、建築家の隈研吾です。インテリアは世界中のロースタリーのデザインを指揮しているスターバックス社員のリズ・ミューラーによるものです。白木の木材を多用したつくりは、隈研吾の作風そのものです。今回の発表会に参加した彼がデザインを語りました。

「外壁に杉の木を使いました。この明るい色づかいはスターバックスにとってチャレンジでした。各階のテラスは縁側のような存在です。緑のプランターもしつらえ、街とスターバックスとをコラボさせました」

オープンのために来日したアメリカ本国のCEO、ケビン・ジョンソンは店の意義を以下のように話しました。

「スターバックス リザーブ ロースタリーは、5年前に始動した私たちにとっての新たな旅立ちです。北米以外のマーケットで初めて進出した、特別な国である日本のこの店は、訪れた人に究極の『プレミアム エクスペリエンス』をもたらすでしょう」

店づくりの詳細を語ってくれたのは、2016年にスターバックス コーヒー ジャパンのCEOに就任した水口貴文さんです。

「中目黒に誕生させた理由は、周囲に住宅もあって、ヒップで、さらにトレンド感もあるからです。駅からほどよく離れ、並木などの自然がある点もいい立地です。思い通りの土地につくれてとても嬉しいです。さらに、横を流れる目黒川の桜の開花時期より前にオープンできたことも幸いです。日本にロースタリーをつくった大きな意味は、そもそも自分たちで焙煎をやりたかったから。うちのパートナー(スタッフ)は本当にコーヒーが好きなんですよ。スターバックスの扱う豆は99%がエシカルで、農園ときちんと取引されたもの。コーヒー豆への取り組みは真剣です」

「この店は、全国のスターバックスの『イノベーション ハブ』になります。我々の取り組みにおける “聖地” になってほしい。ここでは『どうやってつくってるの?』と驚かれるメニューをたくさん用意しています。アルコールもありますし、コーヒーと過ごす‟時間”を提供しています。人が集まる場であり、デジタルな時代だからこそ、このような場所が意味を持つと考えています」

デザイン性に優れ、居心地のよいカフェを通じてコーヒー好きを増やし、ノマドワーカーらの働き方にまで影響を及ぼしてきたスターバックス。日本上陸から23年を経て設立したこの大規模店舗が、世の中に新たな価値観を生み出すか、期待が膨らみます。

3階のテラススペース。建物の右側は桜の名所で名高い目黒川。開花時期は絶好の花見スポットとして、多くの人が集まりそう。

白木の天井に施された印象的な細工は、折り紙がイメージされたもの。

イタリアのベーカリー、「プリンチ(Princi)」によるフードを提供。焼きたての味わいはパン好きをうならせるクオリティ。

プリンチのイチオシはイタリア版クロワッサンの「コルネッティ」。写真のミニのほか通常サイズもラインアップされています。外サク、中もっちりで食感も抜群。

スターバックス コーヒー ジャパンCEOの水口貴文さん。ラグジュアリーブランドのロエベ ジャパンCEOを経て、2016年から現職に。

スターバックス リザーブ ロースタリー東京

東京都目黒区青葉台2-19-23
営業時間:7時~23時
不定休
TEL:03-6417-0202
※2月28日(木)~3月3日(日)、3月9日(土)~10日(日)の7時から9時はチケット制の入場制限あり。

www.starbucks.co.jp/roastery