畳の間でコーヒー!? 京都・二寧坂に純和風のスターバックスが誕生しました。

  • 写真:内藤貞保
  • 文:小長谷奈都子

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2階の座敷の中でも最も伝統的な奥の座敷。掛け軸の表装や座布団には、西陣織の老舗が手がけた生地が使われている。

聖徳太子の建立と伝わる六角堂を借景に取り入れた京都烏丸六角店、夏には川床が登場する京都三条大橋店など、京都の文化や伝統を取り入れたストア展開をしてきたスターバックス 。そしていま、京都屈指の観光名所、世界遺産の清水寺へと続く二寧坂に誕生した新店が話題を呼んでいます。

構想から物件探し、設計、着工、完成に至るまで、10年もの歳月をかけたという「スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店」。築100年を超える2階建ての伝統的な日本家屋を、できるだけ元の姿を残しながらていねいに改修しました。

暖簾をくぐって店内へ入ると、1階には奥へと細長い建物の形状を生かした通り庭を歩くような体験のできる通路と、趣のある庭が広がり、2階には靴を脱いでくつろげる座敷の間が3部屋用意されています。座敷に掛けられた掛け軸は、コーヒーのストーリーと清水を合わせて描いたもの。「つなぐ」をキーワードにしたデザインコンセプトのもと、過去と未来、そして、京都の文化や伝統とスターバックスのコーヒー文化が融合した独自の空間となっています。

世界初の暖簾と畳の間があるスターバックス。京情緒あふれる新しい空間で、非日常なコーヒータイムを楽しんでみませんか?


二寧坂は、大正数奇屋風の伝統的建造物が立ち並ぶ風情漂う散策路。その周囲の環境に溶け込むような店構えが特徴。

店内に入ると、まず行灯をイメージしたレジカウンターが。京都・東山花灯路に見立てた通路にも仄かに行灯のような照明が灯る。通路右手に、店頭での行列による景観の妨げや二寧坂の通行の妨げにならないよう待合スペースが設けられたのも特有の試みです。

奥のバーカウンター。淹れたてのエスプレッソに表れる繊細な3層と、3筋に分かれて落ちる清水の流れを墨絵で表現したアートワークが印象的。奥庭は、茶道の裏千家の組み方にならったもの。

和の空間にしっくり馴染むのが抹茶のドリンクやスイーツ。「抹茶クリームフラペチーノⓇ」(Tall)¥507、「Coffee & Espresso ケーキ 抹茶」¥378

2階のテーブル席の奥は、二寧坂を見渡せる特等席。シアトル1号店やコーヒー農園の版画が空間をシックに飾る。

入り口を入ってすぐ右手にある前庭は、表千家の流儀に沿って作庭。スターバックスのロゴマークであるギリシャ神話に登場する人魚「サイレン」の鱗を、瓦で表現しているところにも注目したい。

スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店

京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町349
TEL:075-532-0601
営業時間:8時〜20時
不定休
www.starbucks.co.jp