三軒茶屋の“ネオ大衆酒場”「酒羅場」名物は、見た目も楽...
写真:中庭愉生 文:岡野孝次

三軒茶屋の“ネオ大衆酒場”「酒羅場」名物は、見た目も楽しい鶏料理 。

酒羅場
三軒茶屋
定番メニューのアレンジが楽しい
人気店「鳥せん」仕込みの焼き鳥
懐にやさしい料金設定

パクチーの山に埋もれてはいるが、主役はささみ。大ぶりにカットされた博多地鶏のささみを近火の強火で焼き、旨味をギュッと閉じ込める。肉質がきめ細やかで、サクッとした歯切れのよさ。残ったパクチーは、他の焼き鳥のつまにするのもよい。「パクチーささみ」¥253(税込)

ポテトサラダに冷やしトマト、唐揚げといった酒場の定番メニュー。これらを大胆にアレンジした皿を出す“ネオ大衆酒場”と呼ばれる店が賑わっている。2020年7月に開業した「酒羅場(しゅらば)」も、あふれ出る玉子の黄身が食欲をそそる「ポテトサラダ」が人気。他にも「冷塩レモンバジルトマト」や「チキン南蛮 しば漬けタルタル」など、居酒屋のおなじみのアテにひと手間もふた手間も加えた酒肴が揃う。

また学芸大学で人気の焼き鳥屋「鳥せん」の系列だけに、鶏料理も種類、質、量ともに充実。「レバー」「もも」などの焼き鳥は1串で約80gと、ポーションの大きさに驚かされる。ふっくらした食感と、勢いよく広がる肉汁も未体験、かつ記憶に残る味わいだ。また山盛りの香草に埋もれた「パクチーささみ」や、うず高いチーズに隠れた「パルミジャーノつくね」など自由なトッピングで楽しませてくれるのは、同店共同代表の泉優祐さんが、もとはブラジル料理店の店長でシェラスコを得意としていたからに違いない。ドリンクは東京下町の大衆酒場の定番、キンミヤ焼酎を割ったサワーが看板メニュー。価格も363円(税込)からと、こちらも山手の下町・三軒茶屋らしい価格設定だ。新旧入り乱れるメニュー表が目を愉しませ、食べて飲んで千円札3枚で収まる安心感。これぞ大衆酒場の醍醐味だ。

身がやわらかく、肉の旨味も濃い大山地鶏は竜田揚げにして、甘酢ダレに絡める。ここにしば漬け入りのタルタルソースを合わせるのが「酒羅場」流。酸味が食欲をそそり、また後味も軽やか。「チキン南蛮 しば漬けタルタル」¥649(税込)。また唐辛子と大葉の入ったサワーは、外見が金魚鉢に似ていることから「金魚」との名称がついたそう。ドライな飲み口で、濃厚な味わいの料理に合う。¥363(税込)。

箸を入れると黄身がこぼれ出す。カラシマヨネーズで味付けしたマッシュポテトには、アンチョビバターに絡めた角切りポテトフライも練り込んであり、濃い味がたまらない。サワーのほかに、秋なら、ひと夏の熟成がかかって味わいに厚みがある日本酒・ひやおろしに合わせるのもいい。日本酒は東京・町田「酒舗まさるや」から仕入れた約10銘柄が日替わりで揃う。「ポテトサラダ」¥429(税込)

料理は古きよき大衆酒場にインスパイアされているが、店構えはコンクリート打ちっぱなしにハイテーブル&ハイチェアの垢抜けた雰囲気。ここはもともと社長の小林健祐さんが個室居酒屋を営んでいた場所で、「鳥せん」のオーナー泉優祐さんと共同で「酒羅場」をオープンさせた。開店早々、良心的な価格設定が評判に。とりわけ近隣の若者を中心に、連夜賑いを見せている。

三軒茶屋の“ネオ大衆酒場”「酒羅場」名物は、見た目も楽...