コロナ禍で廃棄予定のバドワイザーから生まれ変わった、噂のジン「REVIVE」の愉しみ方。

  • 写真:宇田川 淳
  • 文:一ノ瀬 伸
  • スタイリング:廣松真理子

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コロナ禍による消費落ち込みで廃棄予定となった「バドワイザー」ビールを蒸留し、「再生」させたジン「REVIVE(リバイブ)」。9月上旬から約4500本の数量限定で販売中。アルコール度数40%、容量360ml。¥5,500(税込)。

秋が深まり、家でゆっくり晩酌を楽しむのにいい季節がやって来た。グラス片手に家族や友人と会話に花を咲かせたり、はたまた、ひとりで考えごとに耽ってみたり……。愉しむお酒は、心地いい時間を上手に演出してくれるものを選びたい。

そこで今回、落ち着いた秋の夜にぴったりな芳醇なジン「REVIVE(リバイブ)」をピックアップ。その名の通り、コロナ禍で余剰となったビールを「再生」して造られたジンは、香り高く、まろやかな味わいが特徴。酒類業界の協働によって生まれたREVIVEのストーリーとともに、お薦めの飲み方を紹介する。

REVIVEの原料となった「バドワイザー」。世界80カ国以上で飲まれているアメリカ生まれのビール銘柄だ。

新型コロナウイルス感染拡大はビール市場にも大きな打撃を与え、今年4月には国内ビール大手の販売数量が前年比で半減。大量のビールが消費されず、廃棄予定となった。

そうした事態を受け、酒類業界の3社が動いた。ジンやウイスキーを生産・販売するエシカル・スピリッツ(東京)、世界的ビールブランド「バドワイザー」を展開するアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン(東京)、老舗日本酒メーカーの月桂冠(京都)だ。

余剰の酒粕をジンに変える取り組みをしていたエシカル・スピリッツが技術を提供し、月桂冠が製造を担当。賞味期限切れとなった約8万杯分のバドワイザービールを蒸留し、特製ジンのREVIVEが誕生した。

単なる再生ではなく、味や香りにもこだわりが込められている。ビール由来の原酒に、ジュニパーベリー、ホップ、レモンピールなどを漬け込んだ。さらに仕上げ段階でバドワイザービールを添加するなど手間を惜しまない工程により、まろやかな味わいを実現した。

エシカル・スピリッツの担当者は「原料となるバドワイザーらしさを残しつつ、革新的な味わいに仕上がりました。『エシカルだから、もっと美味しい』ということを表現できたと感じています。現代は、消費や活用される機会がなく無駄になってしまう資源が数多くありますが、そうしたものは無限の可能性を秘めています。蒸留を通じて循環型社会を実現していきたいと考えています」とコメントしている。

まろやかな口当たりで香り高いREVIVE。売り上げの一部は、コロナ禍で深刻な影響を受けているエンターテイメント業界に寄付されるという。

芳醇な香りと味わいをもつREVIVEだから、この3つの飲み方をお薦めしたい。

REVIVEは蒸留した原酒にスパイスやハーブといったボタニカルを漬け込む製法を採用。酒税法上は「リキュール」に分類される。

華やかな香りに浸かるなら、シンプルにロックで。

REVIVEのビール由来の芳醇さを楽しむならばシンプルにロックがいい。販売元のエシカル・スピリッツが最も薦めている飲み方だ。

原酒のほか蒸留後の香りづけにも使用されているバドワイザーと、工程の中で漬け込まれたボタニカルが織り成す香りと味わいは、いい意味でジンらしくない華やかさを醸し出す。口当たりも軽やかで飲みやすい。

常温のジンに大きめな氷をゆっくりと溶かしながら、味と温度の変化を楽しみたい。おともにはビターチョコレートが合いそうだ。

軽やかな味わいでロックでも飲みやすい。甘さを抑えたスイーツや紅茶系のケーキなどと相性がいい。

スパイシー料理との相性がいい、黄金比率のジントニック。

一般的なジントニックよりもまったりとした印象。カクテルのブランデー・ジンジャーエールを彷彿させる濃厚さがある。

甘みのあるREVIVEの味わいは、スパイシーやソルティーな肉料理をはじめ、味付けがしっかりとしたフードとの相性がいい。

そうしたフードと一緒に味わう際には、特にジントニックがお薦めだ。エシカル・スピリッツ直伝の黄金比はジン:トニックウォーター=1:4。冷やしたジンに、冷たいトニックウォーターを、炭酸が逃げないようにゆっくりと注ぐ。優しく一周だけ混ぜたら出来上がり。お好みでライムやレモンを絞ればより爽やかになる。

トニックウォーターを炭酸水に変えれば、ハイボールになる。こちらも比率は同じ。味の濃い肉料理などに合わせる時には、ハイボールにミルで引いた胡椒を振りかけると味わい深くなるという。

メーカーが推す配分はジン1に対しトニックウォーター4だが、濃い目が好みの人は1:3でも美味しく楽しめる。

「レッド・アイ」のごとく、ビール由来だからよく合うトマトジュース割り。

ジンの香りを残すためにもお薦めの配分は1:1。好みに合わせて少しトマトジュースを多くしても美味しい。

ビールのカクテルといえば、トマトジュースを加えた「レッド・アイ」が代表的なものの一つだろう。ビールの苦味とトマトの酸味がマッチし、すっきりとした飲み口が人気だ。

同じようにビールの香りを残すREVIVEにもトマトジュース割りがよく合う。ジンとトマトジュースの「ブラッディ・サム」と呼ばれるカクテルだ。濃厚なジンとトマト果汁が合わさり、さっぱりとしつつもゴージャスな印象を感じさせる。

いち押しの配分は1:1。アルコール度数が高いので少量でつくり、ロック同様に大きめの氷を溶かしながら味わう。レモンやパクチーを入れれば、香りを引き立てるだけでなく、見た目も美しい一杯になる。さらにお好みでブラックペッパーを入れれば味が引き締まる。

トマトジュースのほか、フルーツジュースなど自分の好きな割りものを見つけてみるのも楽しい。

苦境に立たされた酒類業界の攻めの一手によって生み出されたREVIVE。「再生」に対するイメージをくつがえすような芳醇な香りを最大限に活かせる3つの飲み方を紹介した。この1本とともに、サステイナブルで心地いい秋の夜を過ごしてみてはいかがだろうか。


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問い合わせ先/エシカル・スピリッツ Email: contact@ethcalspirits.jp

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