幻の高級カレーライスを133年ぶりに再現! 宮中晩餐の世界を体感できる展覧会&イベントが、明治記念館で開催中。

  • 文:坂本 裕子

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伊藤博文らも食したかも知れない豪華なカレーは133年ぶりの復活メニュー。現在でも宮中晩餐の定番デザートである富士山アイスと合わせれば、気分はもう宮廷人? 「鴨肉のカレーライスと富士山アイスのセット」¥4,514 ※写真はイメージです

明治記念館の本館は、1881年に赤坂仮皇居御会食所として建てられた、明治天皇の数少ない遺構。「憲法記念館」と呼ばれる建築は、初の「天皇のダイニングホール」として、外交や国威称揚のための宮中晩餐会の場となり、明治憲法草案審議の御前会議も開かれ、重要な役割を果たしてきました。宮殿造りの車寄せ、瓦屋根、金鶏の舞う部屋、襖の把手や釘隠し、シャンデリアや漆塗りのマントルピースに当時の面影を残し、バルコニーと和式庭園を持つ空間は、和洋折衷の明治モダンを体現しています。

戦後、婚式場として開館した現在の本館は今年で70周年を迎えます。これを記念して、明治天皇と昭憲皇太后よる宮廷外交を振り返る展覧会&イベントが開催されています。「天皇の料理番」と言われた秋山徳蔵のメニューコレクションから宮中晩餐会のメニューカードの実物展示や、明治天皇と昭憲皇太后が食した饗宴料理の再現レプリカ、引き出物として配られた小さな菓子器「ボンボニエール」などが見られます。総銀製に金の菊花があしらわれた菓子器は、超絶技巧の工芸品で、一見の価値あり。

しかし、なによりお薦めは、この期間限定で提供される「鴨肉のカレーライス」です! 明治天皇をはじめ当時の要人が食したであろう料理は、貴重な文献や資料をもとに約133年ぶりに再現されたそうです。鴨肉を贅沢に使った幻の高級カレーは、現在も宮中晩餐会で提供される「富士山(ふじやま)アイス」とセット。抹茶とバニラで作られる富士山に、チョコ、ピスタチオ、キャラメル、フランボワーズ、バニラのソースで富士五湖を描く優雅なデザートです。

普段はなかなか足を踏み入れることのない空間で、宮廷ダイニングのエッセンスを楽しむ……。明治近代に想いを馳せて、ちょっと贅沢な時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか?

さまざまな皇室、華族の祭事の際に引き出物として配られた小さな菓子器、ボンボニエールは、そのサイズには不釣り合いなほどに精巧で美しい銀細工です。その輝きと技術にうっとりします。

天皇の料理番、秋山徳蔵のメニューコレクションから、さまざまな国賓との宮中晩餐のメニューカードの実物が展示されます。 左:秋山徳蔵メニューカードアルバム / 右: ドイツ国ヘッセン州公族フリードリヒ・ヴィルヘルムとの午餐メニューカード ともに味の素食の文化センター所蔵

明治天皇と昭憲皇太后が召し上がったという饗宴料理がレプリカで再現、展示されています。 「饗宴料理レプリカ」(明治20 年5 月13 日)

鴨肉のカレーライスと富士山アイスが食べられるラウンジ「kinkei」は、壁一面に金鶏が舞い、中央には黒漆、大鏡付きのマントルピース、シャンデリアの和洋折衷の豪華空間です。※貸し切りの場合はロビーでの提供になります。 金鶏の間の一角

伝統とモダンが融合し、荘重な雰囲気を醸し出しているちょっと不思議な空間は、近代へタイムスリップさせてくれるかも。 明治記念館入り口とロビーから中庭を臨む

明治記念館開館70周年特別企画 「明治宮廷のダイニングホール」

開催期間:~11月9日(木)
開催場所:明治記念館 館内特設コーナー
東京都港区元赤坂2-2-23
開催時間:10時~19時(月~金) 9時~19時(土、日、祝)
※限定メニューの提供はラウンジ「kinkei」で11時30分~20時L.O.、9/13までの平日はL.O.15時
不定休
入場料:無料
TEL:03-3403-1171(大代表)
http://www.meijikinenkan.gr.jp/