京都から日本のコーヒー文化を発信する人気ショップの新展開は、“home brew”がコンセプト

  • 文:小長谷奈都子

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元は家具屋の倉庫だった一軒家を改装。自宅のような温かみとミニマルなクリーンさが同居する。店舗デザインを手がけたのは、京都のインテリアデザインスタジオ「エヴァーエッジ」。

自宅で淹れるコーヒーにもっとこだわりたいという人に朗報。 “home brew”、つまり家で淹れるコーヒーをコンセプトに、京都の人気コーヒーショップの新店「クラス エビスガワ」がオープンした。

2014年に日本のコーヒー器具を海外向けに販売するショップからスタートした「クラス」は、16年には京都駅前にカフェ「クラス キョウト」、18年には焙煎所&カフェ「クラス フシミイナリ」をオープン。昔ながらの家具店が軒を連ねる京都・夷川通に誕生したこの店は、京都市内では3店舗目となる。店内には大きなコーヒーマシンやグラインダーは見当たらず、入り口の近くにアイランドカウンター、その奥にテーブルやソファが配置され、まるで誰かの自宅を訪れたような雰囲気だ。右手の壁面には、日本製のコーヒーの器具がずらりと並んでいる。

「構想はコロナ禍の前からありました。カフェでありながら、ブランドの原点である器具を紹介する場所として、ずっとやりたかったカタチです。カフェでの味を自宅でも再現できるよう、店内で使っている器具はすべて購入可能なものです」と代表の大槻洋三さんは語る。

カフェのメニューはコーヒーに特化し、ハンドドリップコーヒーは伏見稲荷の焙煎所で豆を挽き、浅煎りから深煎りまでの5種を揃える。内容はその時々で変わるが、面白いのは豆によって、ハリオV60やカリタ ウェーブなど、抽出器具を変えていることだ。

「使う器具によって味わいが変わってくる。そういった違いも知ってもらえたらと思っています」と大槻さん。店内奥のワークショップスペースでは、コーヒーや器具について深く学べるイベントを開催していくという。

既に自分好みのコーヒースタイルを確立している人も、これから家でコーヒーを楽しみたいという初心者も、さまざまな学びや発見を得られる場所となりそうだ。

これまで日本と海外での生活が半々くらいという大槻さん。日本と海外を繋げられる仕事がしたいと金融界から一転し、起業した。使っている温度計付き電気ケトルは、カリフォルニアを拠点とするフェロー社の「スタッグ」。今後は海外の良品も取り扱っていくそう。

常温でゆっくり8時間以上抽出した「水出しコーヒー」¥450(税込)に、バニラアイスクリーム¥200(税込)をトッピング。ほかに「エアロプレスラテ」「抹茶ラテ」「ほうじ茶ラテ」など。

カフェスペースには、カリモク ニュー スタンダードのテーブルやヘイのサイドテーブルなどを配置。

棚には、ハリオやカリタ、オリガミのドリッパーを中心に、ケトルやミル、温度計、メジャー、マグカップなど、コーヒー周りの選りすぐりの道具が揃う。

クラス エビスガワ
京都市中京区夷川通東洞院東入ル山中町551
TEL:075-222-5522
営業時間:10時〜18時
不定休
https://jp.kurasu.kyoto