あのカルディコーヒーファームが、本気でつくった爽快な白。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #45|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    キャメルファーム ケルナー

    2017年の夏の終わり、北海道余市町に1軒の異色のワイナリーが誕生しました。ワイナリーを立ち上げたのは、コーヒーをはじめ、さまざまな食品を輸入して全国的に販売しているキャメル珈琲。みなさんもおそらくご存じの食材店、カルディコーヒーファームの母体となっている会社です。カルディコーヒーファームでは、コーヒーや食材に加えて輸入ワインを販売していますが、さらにワインづくりまでスタートしたのです。一体、なぜワイナリーを始めようと思ったのでしょうか?

    「地域やそれを取り巻く環境によいことをする」というのが、実はキャメル珈琲が目指していること。コーヒーを輸入する際も、常にこの考えが根本にあるそうです。ワイナリービジネスへの参入にあたっては、北海道の財産とも言えるワイン用品種のブドウを使ってワインをつくることで、地域の活性化を考えたそうです。また幸運にも、世界的に有名なコンサルタントのリカルド・コタレッラ氏がそういった考えに共感を示し、協力を得られることになりました。

    ワイナリーの規模は、余市町の中では2番目の大きさ。さらに、ワイナリーの設立に先駆けて営まれている自社農園の面積も、16.2ヘクタールと町内でも有数の広さです。最新のタンクがずらりと並んでおり、その数はなんと43基。他の機器や施設もすべて最新です。これほどまでの機器を揃えたワイナリーは、日本中を見渡してもそうそうありません。2017年の秋、私が訪問した際も、片手間ではなく本気でワインづくりに取り組もうとしている姿勢が伝わってきました。

    そして、その際に飲んだワインの品質は、期待以上のものでした。ケルナーという品種でつくられた白ワイン。ブドウはワイナリーの前にある自社農園で育てられたものです。クリーンでフレッシュ、小気味よい酸が全体の味わいを引き締めていて、爽快です。でもきちんと果実味も感じさせてくれます。またひとつ、目が離せないワイナリーが生まれたのを確信させてくれる味わいです。

    あのカルディコーヒーファームが、本気でつくった爽快な白。
    醸造責任者の中根拓也さんは、山梨県のワイナリーを経て現職に就きました。今後、このワイナリーでは、年間生産量の約15万本のうち、約8割をスパークリングワインにしようとしています。

    キャメルファーム ケルナー

    ワイナリー名/キャメルファーム
    品種と産地/ケルナー(北海道余市郡余市町)
    容量/720ml
    価格/¥3,240(税込)
    問い合わせ先/カルディコーヒーファーム
    https://www.kaldi.co.jp