日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

#42|
鹿取みゆき・選&文
尾鷲陽介・写真
selection & text by Miyuki Katori
main photograph by Yosuke Owashi
ゼロから始めた醸造家が寝る間を惜しんで仕込んだ、心に残る味わいの白。

HATSUYUKI

ゼロから始めた醸造家が寝る間を惜しんで仕込んだ、心に残る味わいの白。

涼やかでクリーン。それでいて、次第にオレンジのような柑橘の風味が口中に満ちてくる……。あと味にもその柑橘の香りがふわっと香り、しみじみおいしい。そんな心に残るワインに出合いました。

ワインの名は「HATSUYUKI」。恐らく日本ワイン好きの中でも、まだあまり知られていないのではないでしょうか? つくったのは、北海道は後志(しりべし)地方の仁木町にあるワイナリー、Niki Hills ヴィレッジの醸造担当者である麿(まろ)直之さん。ワイナリーができたのは2015年。HATUYUKIは、このワイナリーで初めて仕込んだワインです。

麿さんは、前職ではワインづくりとは全く関係のない、大手製薬会社に勤めていました。2014年、北海道を旅行中に、Niki Hills ヴィレッジのオーナー兼代表取締役の石川和則さんの突然の誘いを受け、この道に入ることになったと言います。

「社長の誘いは青天の霹靂で、ワインづくりは全く未知の世界でした。でもその旅行中、毎年ワインをつくっていても一回として同じものができることはないという話を聞かされて、この世界に興味をもつようになりました」と麿さん。その年の9月末には会社を退職。ワインづくりに足を踏み入れたのです。

麿さんは翌年ドイツに渡り、日本人醸造家の下で2週間、醸造のトレーニングを受けました。さらには北海道の醸造家からもアドバイスを受け、初めての仕込みに挑戦。睡眠時間を削って仕込みに没頭しました。

「睡眠が取れなくても、ワインづくりが楽しくて仕方なかった。生涯ワインをつくっていこうと思いました」と、振り返ります。

こうして生まれたのがHATSUYUKIです。当時、麿さんは決して十分な醸造の訓練をしていたとは言えない状況で、一体どんなワインができるのだろうかと私も疑心暗鬼でした。でも、ひと口飲んでみて驚きました。本当においしい……。麿さんが根を詰めるほど、つくることに打ち込んでできたワインだということが伝わってきます。

こうやって、ワインづくりの虜になってしまったつくり手に、何人も出会ってきました。彼らのワインは、語りかけてくるような魅力をもっています。

ゼロから始めた醸造家が寝る間を惜しんで仕込んだ、心に残る味わいの白。
Niki Hills ヴィレッジは、北海道仁木町で2つ目のワイナリーです。現在は、余市町産の買い付けブドウからつくっていますが、来年には6haの自社畑のブドウも収穫できる予定です。さらに、散策できるガーデンやレストラン、宿泊施設もオープン予定。将来は、訪ねた人がワインツーリズムの楽しさを体験できるようなワイナリーを目指しています。

HATSUYUKI

ワイナリー名/Niki Hills ヴィレッジ
品種と産地/ケルナー(北海道後志地方余市町)
容量/750ml
価格/¥5,400(税込)
問い合わせ先/Niki Hills ヴィレッジ
http://nikihills.co.jp