1,000円台で見事な飲みごたえ! フジッコワイナリーの甲州は、ブドウの地区にも着目しています。

    Share:

    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #37|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    甲州樽発酵2016

    山梨県は、甲州ブドウの発祥の地だと言われています。700~1000年ほど前に、甲府盆地北東部の勝沼あたりで栽培が始まり、その後、次第に日本各地に栽培が広まっていったようです。現在も日本全体の甲州ブドウの栽培面積の9割を山梨県が、さらにその4割近くを甲州市が占めています。そして、山梨県のほとんどのワイナリーが甲州ブドウでワインをつくり続けてきました。

    フジッコワイナリーもそのひとつ。ここの甲州ワインは、いつも安定しておいしくて、期待を裏切られることがありません。いまでこそ、甲州ブドウが山梨県のどこの地区で育てられたかに注目する県内のワイナリーが増えてきましたが、フジッコワイナリーは、いち早くこうした取り組みをしたワイナリーのひとつです。そう、同じ甲州市の中で育てられていても、できたワインの味わいは、地区によって微妙に異なってくるのです。 

    ワイナリーの醸造責任者の鷹野ひろ子さんが最も気に入っているのが、勝沼町の上岩崎地区と藤井地区の甲州ブドウ。鷹野さんは、このふたつの地区のブドウのワインについてこう話してくれました。

    「上岩崎地区は、香りと果実の味わいがあって豊かな印象。一方、藤井地区は、しっかりした味わいに感じさせる骨格があります」

    豊かな味わいで骨格があるから、樽の風味に負けないと思ったのでしょうか? この甲州ブドウを樽の中で発酵させてワインに仕上げています。

    「果実味など、味わいの充実度とともに、上質な樽の風味を、飲み手にわかりやいように、恐れずに付けています。果実味と旨味と樽の3要素のバランスが取れているイメージです」と語ります。

    確かに口の中で、オレンジを思わせる果実味と樽の風味がひとつに溶け合い、ハーモニーが生まれます。1000円台とは思えない飲みごたえです。

    1,000円台で見事な飲みごたえ! フジッコワイナリーの甲州は、ブドウの地区にも着目しています。
    鷹野ひろ子さんは、18年間にわたり、甲州ワインをつくり続けてきました。そんな鷹野さんに甲州樽発酵に合う料理を聞いたところ、ショウガを効かせたイワシの甘辛醤油煮とのこと。イワシの頭を取って、丸ごと煮る料理です。グループ会社である食品会社フジッコの「いわしのうま煮」でもいけるそうです。

    甲州樽発酵2016

    ワイナリー名/フジッコワイナリー
    品種と産地/甲州ブドウ (山梨県甲州市勝沼町)
    容量/720ml
    価格/1,944 円
    問い合わせ先/フジッコワイナリー
    TEL:0553-44-3181
    http://www.fujiclairwine.jp/index.html