未知の品種にもチャレンジを! 冷涼な地域で育つ、果実味豊かな赤。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #35|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    シルバー ツヴァイゲルトレーベ2013

    日本でワインづくりが始まって約140年間。いまのところ、栽培されているヨーロッパ系の品種は、シャルドネとメルローに集中しています。それは、栽培しやすい品種であると同時に、日本人の間で知名度の高い品種でつくらないと、売れないのではないかという心配によるところも大きいそうです。

    ツヴァイゲルトレーベというオーストリアを原産とするこの品種は、赤ワインの原料として日本では9番目に多く使われているブドウ。決してメジャーではありませんが、岩手県や北海道のような涼しい気候の土地で、少しずつ増えている品種です。今回、お勧めしたいのが、この品種でつくられた岩手県大迫町にあるエーデルワインの「シルバー ツヴァイゲルトレーベ 赤」というワインです。

    濃密なカシスのような香りと果実味、口の中で感じるなめらかな質感からは、このワインが十分に熟したブドウからつくられていることが伝わってきます。ほどよい厚みもあって、これで2,000円台なら満足度は高いです。最近少し変わってきたとはいえ、いまだに果実の力に対して樽の香りが強すぎるワインが多いものですが、樽香は控えめで、樽の風味と果実の風味のバランスもちょうどいい。実は世界的な潮流を見ても、樽香は控え目にする傾向が強まっています。

    「表面的な華やかさはないものの、しっかりとした果実味を持ち合わせたいぶしのようなワインですね」とは、ワインつくりを担当したワイナリーの行川裕治さん。言い得て妙な表現です。

    最近は、ワインに対して探究心を持った飲み手が少しずつ増えてきて、日本でもずいぶんと多くの品種が飲まれようになってきています。私個人としては、もっともっと多くの品種のワインを楽しんでもらえるようになることを願っています。

    未知の品種にもチャレンジを! 冷涼な地域で育つ、果実味豊かな赤。
    大迫町の北東あたりにそびえる早池峰山には、オーストリアの国花と似ているハヤチネウスユキソウが生息しています。そんなこともあり、この町とオーストリアのベルンドルフ市とは国際友好都市の提携を結んでいます。エーデルワインでオーストリア原産のツヴァイゲルトレーベを使うことになったのは、こうした背景があるようです。

    シルバー ツヴァイゲルトレーベ2013

    ワイナリー名/エーデルワイン
    品種と産地/ツヴァイゲルトレーベ (岩手県花巻市大迫町)
    容量/720ml
    価格/2,808円
    問い合わせ先/エーデルワイン
    0120-08-3037(フリーダイヤル)
    http://www.edelwein.co.jp/shopping