17年つくられ続ける、洞爺湖近くの地に根付いた白ワインの品種とは?

    Share:

    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #33|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    ミュラー・トゥルガウ(白)

    最近、北海道ではワイナリーが急増中です。毎年のように新しいワイナリーができて、その数も30軒以上になりました。

    そんななか、もう17年間もワインをつくり続けているワイナリーが洞爺湖の近くにあります。その名は「月浦ワイン醸造所」。自社のブドウ園で栽培しているのは、ミュラー・トゥルガウというドイツの品種です。

    「20年前に、この地で栽培しやすいということで、この品種が選ばれたそうです」と、ワインをつくっている岸本雅直さんが話してくれました。

    実はこの栽培のしやすさはワインづくりにはとても大切なこと。具体的には、病気に罹りにくいこと、手間がかからないこと、安定して一定量の収穫ができることなどです。当時は日本に1~2軒しかなかったドメーヌ(自社農園のブドウだけでワインをつくるワイナリーのフランスでの呼称)として、このワイナリーがワインづくりを続けていくのには、これはとても重要なことだったのではないでしょうか?

    一方で、特殊なことをしなくとも糖度が上がり、それとバランスする酸が残り、さらには香り高いブドウが穫れることも栽培のしやすさといえるでしょう。 

    このミュラー・トゥルガウのワインには、ユズやジェニパーベリーのスパイスの香りがきれいに出ています。ふっくらとしたボリュームある果実味をキリッとした酸が下支えしていて、優しさと清々しさとを持ち合わせています。なるほど、この土地で栽培しやすい。つまり、この土地に適した品種であることが伝わってきます。畑は北東向きの斜面にあり、眼下には洞爺湖の湖面が広がります。飲んでいると、そんな風景も思い浮かんできます。

    17年つくられ続ける、洞爺湖近くの地に根付いた白ワインの品種とは?
    自社農園の広さは5.2ヘクタール。そのうちミュラー・トゥルガウの栽培面積は2.3ヘクタールで、残りが主にドルンフェルダーという赤用品種です。ミュラーの栽培面積の広さは日本の個人のつくり手のなかでは1、2位を争います。

    ミュラー・トゥルガウ(白)

    ヴィンヤード名/月浦ワイン醸造所
    品種と産地/ミュラー・トゥルガウ(北海道虻田郡洞爺湖町)
    容量/750ml
    価格/3,348円
    問い合わせ先/月浦ワイン醸造所
    http://www.tsukiurawine.jp/