岡山で30年以上つくられ続ける、「山葡萄のロゼ」の魅力とは?

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #30|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    山葡萄 ロゼ

    日本では、山葡萄からもワインがつくられているのをご存知でしたか?

    山葡萄とは、その言葉の通り野山で生息している野生のブドウ。かつては「エビ」と呼ばれており、奈良時代まではこの山葡萄の汁で布を染めていたそうです。艶のある紫や葡萄色をエビイロというのもそのためのようで、紫式部や清少納言はこの色合いを好んでいたとも伝わります。

    ひと言で山葡萄と言っても、その種類は無限にあります。その中の「ヴィティス・コワニティ」と呼ばれる種、ひとつをとってみても、DNA的にみるとその種類は膨大にあると考えられているそうです。自然の森の中で交配を繰り返していくうちにどんどん増えていってしまったのでしょうか。

    このコワニティでのワインづくりを20年以上も手がけてきたのが、岡山県にあるひるぜんワイナリーの本守一生さん。本守さんがコワニティの可能性に気づいたのは、このブドウでワインをつくり始めて約10年が過ぎた頃。少量で仕込んだ赤ワインから、なんとも魅力的な甘い香りが立ち上っていたそうです。

    「どんなワインがつくりたいかではなく、私ができるのはどんなワインができるかを探ることです」と語る本守さん。ひるぜんワイナリーではその後も酵母を変えたり、発酵方法を変えたり……。あるいは岡山大学との共同研究により、山や畑で優良なコワニティを選び抜いたりと、コワニティのワインの魅力を追求してきました。

    山葡萄のワインと聞くと、軽く見るワイン通もいます。でもこうして数10年にわたって土地に根付いているものづくりには、敬意を払うべきではないでしょうか。

    この山葡萄のロゼを飲んで見てください。あふれんばかりのラズベリーのような小さな赤い果実の香りが感じられ、ほのかに甘い果実味が広がります。酸がじつに伸びやかなため、甘さがあってもじつにジューシーでおいしい。昔の人たちが愛でていた山葡萄のワイン。本守さんたちの努力が思い浮かぶ1本でもあります。

    岡山で30年以上つくられ続ける、「山葡萄のロゼ」の魅力とは?
    房を見ると、黒々とした小さな粒がまばらに付いており、よく目にするブドウとは見た目も随分違っています。色合いの濃さと豊かな酸が身上でもあります。ひるぜんワイナリーはこのコワニティを主な原料とすることをモットーに掲げています。

    山葡萄 ロゼ

    ワイナリー名/ひるぜんワイナリー
    品種と産地/ヤマブドウ(岡山県真庭市蒜山)
    容量/720ml
    価格/3,456円
    問い合わせ先/ひるぜんワイナリー
    TEL:0867-66-4424
    http://www.hiruzenwine.com/#id1


    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第30回「山葡萄 ロゼ」のご応募の締め切りは、2017年3月9日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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