甲州ブドウを支え続ける老舗ワイナリー、勝沼醸造がいま力を入れるワインとは?

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #29|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    アルガーノ ボシケ

    日本の甲州ワインの9割以上は山梨県でつくられています。けれど、140年余りのワインづくりの歴史を振り返ってみると、いつもワイナリーが甲州ブドウを大切にしてきたわけではありません。甲州ワインが注目されるようになったのは、実はここ10数年のこと。90年代、甲州ブドウの新酒ブームが終わった時、大手メーカーが大量に甲州ブドウの買い取りを直前にキャンセルして、農家がブドウを捨てざるを得ない状況に追い込まれました。

    そんな時も甲州ブドウを買い続けた、いえ、買い支えてきたワイナリーがあるんです。甲州市にある老舗ワイナリー、勝沼醸造がそれにあたります。家族経営ながら、甲州ブドウの仕込み量は山梨県で1位、2位を争います。

    この勝沼醸造がいま、まさに世代交代の時期に差し掛かっています。社長の有賀雄二さんの息子である裕剛さん、淳さん、翔さんの3兄弟がそれぞれ醸造、営業、栽培を担うようになっているのです。そして彼らも農家を支え、甲州ブドウを守った父のように、甲州ブドウを自分たちのワインづくりの核と捉えています。

    「父が守った農家さんからの信頼がずっと続いているのを感じています。うちは農家さんと一緒に歩むワイナリーなんです」と語るのは次男の淳さん。いまではこのワイナリーの白は、すべて甲州ブドウです。それだけではありません。最近はさらに1歩踏み込んだ取り組みを始めているそうです。同じ甲府盆地の中でも、畑によってブドウの味わいや香りが異なることに着目し、その違いを活かしたワインづくりにも力を入れ始めているのです。

    そして生まれたワインが「アルガーノ ボシケ」。香りはグレープフルーツを彷彿とさせます。酸がアクセントになっており、柑橘の果汁を飲んでいるような爽やかさが印象的です。聞けば、原料となった甲州の畑は川が近く、小石がごろごろしている土地。柑橘の香りは、その畑ならではのもの。新たな甲州ワインの可能性を感じさせます。

    甲州ブドウを支え続ける老舗ワイナリー、勝沼醸造がいま力を入れるワインとは?
    有賀裕剛さんは、フランスのブルゴーニュで、淳さんは酒販店の営業マンとして、翔さんは畑で修業を積みました。守るべきものは守りつつ、新たな時代を迎えようとしているのが、彼らと話していると伝わってきます。

    アルガーノ ボシケ

    ワイナリー名/勝沼醸造
    品種と産地/甲州(山梨県笛吹市)
    容量/750ml
    価格/2,592円
    問い合わせ先/勝沼醸造
    TEL:0553-44-0069
    www.katsunuma-winery.com

    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第29回「クラレーザ」のご応募の締め切りは、2017年2月23日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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