厳しい作柄だった2016年に、きちんと結果を出した島根のワイナリーの、瑞々しい味わいの1本とは?

    Share:

    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #22|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    奥出雲ワイン小公子2015

    今年の日本のワイン用ブドウの作柄は、いままでになく厳しいものでした。9月半ば以降、各地で見られた集中的な豪雨は、既に色づきやわらかくなっていたブドウたちに大きなダメージを与えました。ワイナリーによっては過去最悪というところもあったほどです。でも、そんな年でもつくり手はそれを受け止めてワインをつくらなければならない。工業製品のようにどこか別のところから原料を調達することなんて、そうそう簡単にはできないのです。

    一方こんな年でも、土地によって、品種によって、きちんと結果が出ているケースもありました。そのひとつが島根県雲南市のワイナリー。奥出雲葡萄園が育てている「小公子」というブドウです。28年間このブドウを育て続けてきたのは、ワイナリー長の安部紀夫さんです。

    実は安部さんは、初めこの小公子でつくったワインに自信が持てなかったそうです。というのもこの品種は、世界中でワインがつくられているヨーロッパ系のブドウとはちょっと異なる生まれなのです。そう、小公子はさまざまな品種を掛け合わせて生まれました。そのため、ヒマラヤやモスクワの山ブドウ、アメリカ系のブドウ、そしてヨーロッパ系の遺伝子を受け継いでいます。

    「粒はとても小さくまばらで、病気になりにくい。味わいは一般的なヨーロッパのワインとはかけ離れたもの。これを本当においしいと思っていいのかと不安でした」と安部さんは言います。

    その後安部さんは、樽で寝かせる期間を微妙に調節していきました。すると、このワインを好む人が少しずつ増えだしたのです。初め300本で発売していたワインは、現在3000本になり、発売と同時に完売するようになりました。

    深みのある美しい紫色、カシスとエルダーフラワーが溶け合った香り、果実味と豊かな酸が織りなす実に瑞々しい味わい。そして酸が引っ張る、長い余韻。土地に合っている品種の味わいとはこういうものだと、改めて感じさせてくれます。

    厳しい作柄だった2016年に、きちんと結果を出した島根のワイナリーの、瑞々しい味わいの1本とは?
    安部さんは、色付きがよく、酸が落ちず、病気に強いというこのブドウをこのワイナリーのメインの品種としています。「飲み手に挑むようなワインをつくりたいとは思っていません。自然と共生し、地域と共存しワインをつくっていきたい」と安部さん。それがワインにも、ワイナリーにも自然とにじみ出ています。

    奥出雲ワイン小公子2015

    ワイナリー名/奥出雲葡萄園
    ブドウ品種と産地/小公子(島根県雲南市木次町)
    容量/750ml
    価格/¥3,780
    問い合わせ先/奥出雲葡萄園
    TEL:0854-42-3480
    http://www.okuizumo.com
    ※10/29(土)~電話予約受付開始、11/19(土)~ワイナリーで直売開始。

    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第22回「奥出雲ワイン小公子2015」のご応募の締め切りは、2016年11月10日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

    プレゼントに応募する