日本のロゼの常識を覆す! 女性のつくり手による繊細かつ複雑な味わいの1本に注目を。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #19|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    グレイスロゼ 2015

    ほんのりと淡く紅色に染まったロゼワイン。実はいま、世界中で大人気のワインです。たとえばニューヨークでは、7~8年前からロゼブームに火がつき、その後も人気が衰えることはありません。ニューヨークっ子は軽い料理から重たい料理まで、さまざまなタイプのロゼを合わせて楽しんでいます。

    ところが日本では、色合いからか、香りや味わいが甘いというイメージが根強く、飲む前からロゼはいらないと断ってしまう飲み手が多いようです。

    そんな日本の傾向に奮起して、繊細かつ複雑で、誰をも納得させる味わいのロゼワインをつくった女性のつくり手がいます。山梨県にあるグレイスワインの三澤彩奈さんです。

    「ロゼワインをつくり始めたのは2008年です。でも当時は売れなかったのです。なんでダメなんだろうって考えて考えて……。樽の中で発酵させたり、黒ブドウを丁寧に搾ったり、試行錯誤を続けました」と彩奈さんはその頃の苦労を振り返ります。そしていまでは、黒ブドウを直接搾る方法も一部取り入れたつくりに行き着いたそうです。ブドウは、彩奈さん自らがワイナリーのスタッフと一緒に育てた、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティヴェルドが使われています。

    正直に告白すると、今年このワインを口にするまでは、日本のロゼはキュートでこそあれ、飲みごたえがあるものができるとは思っていませんでした。けれど、一口飲んでみて驚きました。なんといってもふくよかであり、厚みがある。色合いはロゼとしてはやや赤みが強く、香りはバラ、ザクロ、そしてシナモンのようなニュアンスが漂います。

    「売り出したときに売れていたら、こんなに努力しなかったかもしれません」という彩奈さん。このロゼはつくり手の飽くなき探究心で生まれた、「美味しい」と書きたくなるような、ロゼ色が美しく、味わい深い、美しさも味わいも揃ったワインなのです。

    「ロゼなんて」と言っているあなた。まずは飲んでみてください。

    日本のロゼの常識を覆す! 女性のつくり手による繊細かつ複雑な味わいの1本に注目を。
    三澤彩奈さんは、山梨県にある老舗ワイナリー、グレイスワインのオーナー兼代表取締役社長の三澤茂計さんの長女として生まれました。ワイナリーは甲州ブドウを使ったワインで広く知られています。彩奈さんは栽培醸造責任者としての重責を果たしつつ、自らのワインの伝道者として国内外を飛び回っています。一見可憐な風貌ですが、最近の彼女からはワイナリーを継ぐ者としての覚悟がにじみ出ており、凄みさえ感じられます。

    グレイスロゼ 2015

    ワイナリー名/グレイスワイン明野・ミサワワイナリー
     ブドウ品種と産地/メルロ(49%)、カベルネ・ソーヴィニヨン(23%)、カベルネ・フラン(20%)、プティ・ヴェルト(8%)(すべて山梨県北杜市明野)
    容量/750ml
    価格/¥2,700
    問い合わせ先/グレイスワイン
    TEL: 0553-44-1230
    www.grace-wine.com/index.html

    プレゼント

    連載「日本ワインで乾杯!」では毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第19回「グレイスロゼ 2015」のご応募の締め切りは、2016年9月22日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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