台風にも負けない小粒の強いブドウが、豊かな酸と果実のおいしさを楽しめるワインに。

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    日本ワインで乾杯!We Love Japanese Wine!

    #10|
    鹿取みゆき・選&文
    尾鷲陽介・写真 
    selection & text by Miyuki Katori
    main photograph by Yosuke Owashi

    2014 プティ・マンサン

    ワイン用ブドウは、全世界で7000から8000種類もあると言われています。同じブドウでも、房の大きさ、粒の形は、随分と異なります。そしてもちろん、病気への耐性も違います。

    プティ・マンサンという品種を知っている人は、おそらくかなりのワイン通。日本どころか、世界でもまだあまり知られていない品種です。「プティ」という名前がつく通り、粒はとても小さく、粒と粒の間は隙間だらけのブドウです。このブドウは、実はとても病気に強い品種なのです。

    いまから約20年前、栃木県のココ・ファーム・ワイナリーは、オーストラリアからブドウ栽培のコンサルタントを日本に招きました。その時に得たアドバイスが、日本と同じようにやや降水量が多い、ハンデを背負った土地のブドウを探してみるといい、というものでした。そこで、注目した品種がフランスのピレネー山脈の麓で栽培されていたプティ・マンサン。加えて、当時ワイナリーで栽培醸造の責任者だったブルース・ガットラヴさんが、同様に雨量がやや多いアメリカのバージニア州を訪れたところ、なんとそこでも同じ品種が栽培されていたのです。

    ブルースがこのブドウを育てていたホートン・ヴィニヤードの栽培家に、プティ・マンサンについて尋ねると、こんな答えが返ってきました。
    「シャルドネは1回の台風で、ヴィオニエは2回の台風でだめになる。けれどプティ・マンサンは台風が大好きよ」

    そしていま、ココ・ファーム・ワイナリーの正面の斜面には、プティ・マンサンの畑が広がっています。ワイナリーのワインメーカーの柴田豊一郎さんはこういいます。
    「このブドウなら、この足利の地でも、豊かな酸、そして熟した果実のおいしさが楽しめるワインができあがります」

    口の中でトロリとした質感、アプリコットを思わせる味わい、そして味わいに彩りを与えるいきいきとした酸。思わずおいしいのひと言が漏れてしまう、そんなワインです。

    台風にも負けない小粒の強いブドウが、豊かな酸と果実のおいしさを楽しめるワインに。
    ココ・ファーム・ワイナリーの母体は、知的障害をもった人たちのための施設である、こころみ学園。ワイナリーでは、スタッフと学園の園生たちが、ともに働き、ブドウを育てて、ワインをつくっています。ワイナリーの前には、急斜面のブドウ畑がそそり立っています。

    2014 プティ・マンサン

    ワイナリー名/ココ・ファーム・ワイナリー

    ブドウ品種と産地/プティ・マンサン(栃木県足利市)

    容量/750ml

    価格/¥3,500

    問い合わせ先/ココ・ファーム・ワイナリー
    TEL:0284-42-1194
    http://cocowine.com/

    プレゼント

    新連載「日本ワインで乾杯!」のスタートを記念して、毎回、ご紹介するワインを1名の方にプレゼントします。 第10回「2014 プティ・マンサン」のご応募の締め切りは、2016年5月12日(木)まで。ふるってご応募ください。  ※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。未成年者のご応募はできません。ご応募は日本在住の方に限ります。なお、伊豆諸島(大島・八丈島を除く)および小笠原村(小笠原諸島)への配送はできません。ご応募にあたっては、弊社メールマガジンへのご登録が必要です。

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